酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドラフトの大穴!? 独立Lの右腕・片岡篤志が覚醒!「夢を見るのは今年で最後です」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/12 11:01
独立リーグ堺で剛球を投げ込んでいる片岡篤志。彼の名がドラフト会議で呼ばれたら、野球ファンも衝撃を受けるだろう
ほとんど試合経験のない中での課題
とはいってもほとんど試合経験のない片岡にとっては、独立リーグはレベルが高かった。
「トレーニングをして球も速くなったのですが、コントロールがよくなくて。昨年、香川の監督をしておられた西田真二監督(元広島)には“コントロールが悪いのは気持ちの問題だ”と言われました。コーチからも“気持ちにムラがある、マウンドで委縮している”と指摘されていました」
香川での1年目は5試合1.1回を投げて3被安打3与四球2与死球、防御率13.50。明らかに制球力に難があった。しかし片岡はまだあきらめなかった。
「正直、今年に入ってから自分の中で手ごたえをつかんだんです。だから、もう1年頑張ろうと思いました」
松中GMが就任、歳内の姿勢を見て
今年の香川は松中信彦氏がGM、総監督に就任(9月30日に退任)、そして松中氏の紹介で元阪神の歳内宏明が入団した。
今年6月に、筆者は歳内にインタビューしたが「独立リーグで圧倒的な成績を残してNPBに復帰することだけを考えている」と語った。
歳内は「有言実行」で抜群の成績を残してシーズン中にヤクルトに復帰。10月1日には1829日ぶりの勝利を挙げている。この「目の色が変わった」歳内の姿が、片岡の心に火をつけたのだ。
「歳内投手は横で見ていてすごく勉強になりました。ブルペンで僕は良い球を投げることばかり考えていましたが、歳内さんは打者やカウントを想定して投げておられて、投げている姿が美しいというか、見ていて気持ちよく感じました。僕もそういう投球ができるようになろう、と意識を変えました」