日高ベースボールクラブには、中学生も小学生もやって来るから、年齢や理解力を見計らって、こんなことやろうか、あんなことやってみようか……と。

　目をつぶってゴロを捕る練習……なんてこともやってみる。こっちがゴロを転がす。転がってくるコースだけを見定めたら、目をつぶる。目をつぶったまま、ここだな……と思い定めたポイントに子供たちが動き、捕球姿勢を作る。  

　最初は、かすりもしない。しかし、面白がって、4回、5回と繰り返すうちに、捕球姿勢の足にボールが当たったり、グラブに触ったりするようになるから不思議だ。そこで、「さあ、目を開けて捕ろう！」とゴロを転がしてあげると、子供たちは別人のように上手に、グラブにボールが収まるまで、しっかり目で追って捕球するようになる。

エースは中学2年の女子選手

　そんなこんなの“遊び”のような練習をしながら、本質みたいなところを、無意識のうちに感じ取ってくれたらいいな……という思いで、土日の2日間、お互いに「野球」で楽しく遊ぶのだ。

　北海道の片田舎だから、当然のように過疎である。子供たちの絶対数が少ないから、現在、クラブの子供たちは中学生、小学生合わせて15人。

　エースは中学2年の川端すみれ投手。クラブに2人いる女子選手のひとりだ。この川端投手が子供らしい柔軟性を発揮、コントロールがすばらしい。子供の野球は半分が「四死球で自滅」のパターンだから、コントロール抜群の川端投手、なかなか点を取られない。

川端すみれ投手

　すでに、100人近い「卒業生」のいる日高ベースボールクラブ。出世頭は岡部祐太君といって、今、社会人野球の名門・東芝のレギュラー遊撃手をつとめている。

来春のセンバツを狙う“卒業生”

　そんな「日高ベースボールクラブ」を巣立って、北海道の強豪校に進んだ少年が、この秋、背番号1を背負って地区予選を勝ち抜き、来春のセンバツを懸けた北海道大会に進む。

　北海道栄高・小沼快登（こぬま・かいと、2年・178cm73kg・右投左打）という。

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