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『愛の不時着』で伸びやかに 本郷理華ら“お姉さん”世代が見せたスケート人生をかけた演技
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byManabu Takahashi
posted2020/10/02 11:02
フリーでは前半最後の3回転サルコウで1/4回転不足が付いた以外はノーミスの演技を見せた本郷
12月末に足を骨折してしまい……
一方、本郷の演技からパワーをもらったのは、やはり大学を卒業したあとも現役を続けている、23歳の新田谷凜だ。
新田谷は大学4年生だった昨季、“最後のシーズン”と心に決めていた。「ラストシーズンは試合を楽しむ」と目標を決め、7度目の出場となった全日本選手権では、自身最高となる7位に。
「いつもと違った景色が見られた全日本でした。順位や点数を気にしないで臨み、スケート人生のなかで一番楽しんで滑ることができて、点数も付いてきてくれて、自己最高の順位がとれました」
1、2月の大会で花道を飾る予定だったが、12月末に足を骨折したために棄権。引退を撤回し、納得いくまで競技を続けることを宣言した。
「ここでやめたら後悔が残るとも思いました」
「全日本が終わってすぐは、もうやり切ったと思っていました。これだけ良い演技ができたならここで辞めたほうがいい、と。でもスケートが好きなので続けたい気持ちもあり、骨折してゆっくり考える時間があったことで、ここでやめたら後悔が残るとも思いました。家族にその気持ちを話したら『せっかく続けたいこと、やりたいことがあるなら続けてもいい』と言ってもらえたので、現役続行することにしました」
2月末から練習を再開すると、スケートに取り組む気持ちは前向きになった。
「毎日、去年のその時期にはどれくらい出来ていたのかを思い出して、『去年の自分より勝つ』ということを考えています」
中部選手権の直前に尾骨を痛めたこともあり、最高難度のジャンプ構成には挑まないことになったが、「現役続行を決めてから最初の試合だったので、本番を楽しむというのが目標でした」と語る。