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ロッテに4勝10敗…「ソフトバンクが(まだ)本気出してないんじゃないか問題」を検証する
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJiji Press
posted2020/09/30 19:00
ソフトバンク工藤公康監督。9月29日時点でロッテに4勝10敗1分と大きく負け越しているが……
誤解を招くといけないので断っておくが、チーム関係者は誰もそんな発言はしていない。ホークスを身近で取材している筆者の感想、いや妄想と言っていいかもしれない。
だが、9月のホークスの選手起用法を見ていると、どうしてもそのように感じてしまうのだ。
「勝ち投手」に着目してみると……
9月は19日(イーグルス戦)から25日(マリーンズ戦)まで、(引き分けを挟み)今季最長の5連敗があったばかりで苦しんでいるイメージが強いが、逆に8日(イーグルス戦)から12日(ライオンズ戦)までは今季4度目となる5連勝を飾っている。
着目したい点がある。この5連勝中の勝ち投手は、千賀滉大→和田毅→東浜巨→ムーア→武田翔太。すべて先発投手に白星がついた。
野球の試合運びは千差万別。終盤で鮮やかに逆転する劇的な勝ち方もチームに勢いをもたらすが、勝ち星を重ねるための安定した戦い方をするならばやはり先発ローテ陣の安定は欠かせない。
また、今年は火曜日から日曜日までの6連戦が毎週続いている。特にパ・リーグはやたら規則正しい。月曜日が祝日だとしても今シーズンの場合は例外なくそれを貫いている。シルバーウィークだった9月21日の敬老の日もセ・リーグの3試合のみが行われた。パ・リーグは毎週月曜日を共通予備日として確保し、柔軟な運用で日程消化を目指すことを当初から決めていたためだ。
毎週金曜日の移動ゲームは選手たちにとって本当に気の毒だが、一方で先発ローテを組みやすいという利点はある。先発6人がしっかり固まれば、中6日で回していけばいいのだ。
先発陣“抹消のナゾ”
しかし、工藤公康監督をはじめ投手コーチ陣は考えを巡りに巡らせて先発ローテを組んでいる。
まず6月の開幕ローテ。金曜日スタートの3連戦を東浜→和田→二保に任せた。
そして6月23日から1カード6連戦が始まると、ムーア→石川柊太→バンデンハーク→東浜→和田→二保の6名で回した。
翌週の6月30日からも同じ6名が同じ順番で投げた。
だが、2週続けて同じ顔ぶれでローテが組まれたのは、これが最後だった。それ以降の約3カ月間は週ごとに組み合わせが変わるのだ。もちろん、東浜が首の張りで抹消されたり、バンデンハークも故障で離脱をしたりアクシデントによるものもある。
だが、9月の先発陣の抹消はいずれも故障が原因ではなかった。
ならば打ち込まれたのが原因かといえば、それも違う。