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市船の「あいつら」に負けない! J1仙台で躍動する大学生・真瀬拓海の幸せな思い出
posted2020/09/30 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
大卒選手を中心に、来季以降の加入が内定する「特別指定選手」たちの多くが、本加入を待たずして続々とJリーグデビューを果たしている。その中で、すでに“主力級”の活躍を見せているのが、ベガルタ仙台のDF真瀬拓海だ。
真瀬は名門・市立船橋高校の出身。阪南大学に進み、現在は4回生。スピードとフィジカルバランスに秀いででおり、ボランチやサイドハーフの動きを頭に入れながら、賢くポジショニングとオーバーラップを仕掛けられる生粋のサイドバックだ。空中戦や1対1、カバーリングも難なくこなす注目株は、今年3月に早々に仙台内定を勝ち取ると、リーグ中断明け2試合目となるJ1第3節浦和レッズ戦でJリーグデビューを飾っている。
リーグ出場3試合目となった第9節ヴィッセル神戸戦で「これまでやったことがない」という攻撃的な4-3-3の右ウイングに抜擢。そこから5試合の出場を重ねると、本職の右サイドバックとしても1試合にスタメン出場している。さらに第17節FC東京戦では、3-4-2-1の右ウイングバックを任せられるなど、サイドプレーヤーとしてポリバレントな能力を見せつけた。
チームの不振、真瀬自身にも迷いが
しかし、チームは低迷を続けている。真瀬がスタメンデビューを飾った8月8日の神戸戦でこそ勝利したが、Jリーグ第19節を終えた時点でリーグ戦は直近6連敗、ルヴァンカップを含めると10試合も勝ち星から遠ざかっている。真瀬は現状をどう捉えているのか。
「仙台に来た当初は自分のことばかりを考えていました。でも、デビュー5試合目の(第12節)セレッソ大阪戦あたりから、少し考え過ぎるようになってしまった。特別指定の立場である僕が練習や試合でミスをして、チームの流れや雰囲気を壊さないような、ミスを恐れたプレーを意識するようになりました。ドリブルで仕掛けられるスペースがあるのに、下げるパスを選んで、1回落ち着かせようという消極的なプレーを選択しているのが自分でもわかりました。
チームとして結果がなかなか出ない中で、勝つために自分がどうすべきか。それがプラスに働けばいいのですが、プレーに迷いが出始めて、思い切りやれていないというか……周りのことばかりを考えてしまい、自分の良さが消えているのではないかという葛藤が生まれてきました」