もっと良いパフォーマンスを、チームワークを

――確かに、一般的には得点をしたときに選手名のコールが湧き起こることが多いですが、今では、小柄な藤永（佳昭）選手が守備で身体を投げ出したり、奮闘しているときにも歓声や大きな拍手が起きるようになりました。

「そういうとき、みなさんの心にジーンと来てくれたらありがたいなと。もちろん、（富樫）勇樹の胸のすくようなプレーも僕らの1つの武器ですし。1つのゲームがストーリーだから、そういうものを伝えるための努力をしていきたいです」

――それは選手たちに問いかけていることですか？

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「はい。僕らが組織を作る最大の目的は、成果をあげることです。その成果とは、勝つことと、支えてくれている人たちに喜んでもらうものを見せること。では、支えてくれる人たちは誰か。ファンやブースターのみなさん、スポンサーさん、コミュニティーのみなさんですよね。ただ、みなさんが最初に受けた感動も、ずっと続くと、慣れてしまうから。もっと良いパフォーマンスを、もっと良いチームワークを、もっと良いファンサービスを見たい、となる」

――確かにそうですね。

こんな時代に、スポーツをやる意義があるの？

「それを成し遂げるのは難しいことですが、そうやって思ってもらえるくらいのチームに僕らはなったということだから。では、プロとして、どうあるべきか？　明日、今日よりも良いプレーをするために何をすべきかをプロとして考える。結局、『Be Professional』になるよねと」

――Bリーグ初年度から5年目を迎える今季まで変わらず、大切にしてきたチームのスローガンにつながると？

「そうですね。そこにもう1回立ち返りたいし。やっぱり、忘れちゃいけないことだと思うんですよね。それを積み重ねていきたいと思っています。クラブ創設からちょうど10周年ですから」

　こんな時代に、スポーツをやる意義があるの？

　そう思われても不思議ではない時代になりつつあるからこそ、彼らの目指す道には意味がある。

　彼らの試合を見て、元気をもらえた。勇気がわいた。それが、誰かの明日につながるときに、スポーツクラブの存在意義は光り輝く。

　だからこそ、勝利と、心を動かす戦いと、その両方を大野は追求していくのである。