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「大事なのは『過程』。フェイクはバレる」千葉ジェッツ大野HCが語るチーム作り
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI/IKEMENKOHO
posted2020/09/27 11:50
千葉ジェッツふなばしの大野HCは勝利だけを目指さないことで勝利を手にしてきた
競争心がある選手が集まったのはなぜか
今シーズンは大幅にメンバーが入れ替わった。4選手が去り、セバスチャン・サイズ、シャノン・ショーター、佐藤卓磨、赤穂雷太が加わった。
「新しく入ってきた選手たちは、ハードワークできる選手です。負けたくないという競争心があるので、既存の選手たちと融合して、良い雰囲気が出ているかなと思います」
――そういう選手を集められた要因は?
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「もう1回、自分たちの良さとは何なのかについて考えました。まず、エナジーがあるか、ボールを泥臭く必死に追いかけられるのか、競争心を持っているかどうかが大切で。その上で、自分たちがやりたいトランジション(激しい守備からボールを奪い、攻撃へ素早く切り替えるバスケ)のためには、走れる選手が必要だと。そういう選手を呼んできてほしいと池内(勇太)GMには伝えました。まさに原点回帰のような感じです」
決着がついてないから、もう1試合やらせてくれ!
――スクリメージ(5対5で行なうゲーム形式の練習)のときに、ビハインドを負っているチームにいた佐藤選手が「まだ2点差、逆転できるよ!」と声を出してチームを鼓舞していましたが、あれは変化を物語る場面でしょうか?
「そうですね。一番変わったのは、2本のスクリメージをして、1勝1敗になったときですね。僕らが設定しているのは2本だから、以前ならそこで終わりでした。
でも、今シーズンは、1勝1敗だったら、『コーチ、決着がついてないから、もう1試合やらせてくれ!』という声が挙がって」
――誰が言い出したのですか?
「言ったのはセバス(サイズ)です。『絶対に負けないぞ!』みたいな空気が今シーズンはあるんですよ。彼は、勝った時にすごい喜んだり、ボディーランゲージで表現して、それがみんなに伝わります。そこまでのものはこれまでなかった。だから、コーチとしては、嬉しい」
――空気が変わりつつありますね。
「良い影響が出ていると思います。僕一人の力では変えられないことで、選手に変えてもらえることはたくさんあります。昨シーズンの失敗を経験した選手のなかにも危機感はあると思うし、新しい選手が入ってきて競争もある。これがあるから勝てますとは言えないけど、良いシーズンにしたいなと思って、今は取り組んでいます」