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「大事なのは『過程』。フェイクはバレる」千葉ジェッツ大野HCが語るチーム作り
posted2020/09/27 11:50
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
CHIBA JETS FUNABASHI/IKEMENKOHO
「僕たちのカルチャーを作ろう」
「支えてくれる人たちにとっての『日常』になろう」
「僕らの試合を見た人が、元気になるような試合を見せよう」
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千葉ジェッツふなばしの大野篤史ヘッドコーチ(HC)は、バスケットボールの戦術や勝敗以外について、日本のバスケ界で最も声高に語ってきた1人ではないだろうか。
夢を語ってきた、と言い換えてもいい。夢を語る理由はハッキリしている。「支えてくれる人たち」にも夢を見てほしいからだ。
夢と勝利を追い求めたチームの危機
じゃあ、プロとして、勝利は二の次なのか?
そんなことはない。
彼の勝ちたい気持ちの強さは試合中の1つひとつのプレーに対するアクションを見ればわかるし、なにより大野が就任したBリーグ初年度から昨シーズンまでの通算成績が物語っている。
勝利数:170勝(1位)
勝率:.773(1位)
主要獲得タイトル:全チーム最多5個(東地区優勝2回、天皇杯優勝3回)
Bリーグが生まれてから最も多く勝っているのは、ジェッツなのだ。
夢と、勝利と――。
その両方をつかもうとする彼らはしかし、昨シーズンは危機に瀕していた。その前の2シーズン続けて東地区で優勝していたチームなのに、一時期は東地区最下位に沈んだ。それでも、12月から少しずつ調子をあげて、新年を迎えた。
そして、2020年初めのアルバルク東京との2連戦で2連勝。3月にリーグ戦が打ち切りになるまで、今年に入ってからは全チームのなかで最高の成績を残した。
アルバルク戦をターニングポイントにあげる選手は多いし、あの試合までの練習における大野のアクションを記憶している選手も多い。例えば、副キャプテンの田口成浩はこう話していた。
「あの試合までの練習は、チームが一つになる時間だったと思います。僕らはメチャクチャ怒られましたけど、アツさん(大野HC)の気持ちが出ていましたよね。それに選手も乗っかれたのかなと思いますけど」
あのとき、何があったのか。その問いかけからインタビューは始まった。