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横峯さくら独占インタビュー 妊娠発表も「引退はない」“ママ計画”と勝利への欲望
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byKen Ishii/Getty Images
posted2020/09/25 11:00
9月8日、妊娠を発表した横峯さくら。復帰後の目標を明確に語る表情には、充実した様子が漂っていた
無理をしない「任せられるところは、甘えたい」
「いつか子供ができたらいいな」という願望は、思わぬきっかけで現実となった。コロナ禍である。それまで、夫婦の目標として東京五輪を目指してきたが、状況が変わり、家族のことを第一に考えることとなった。
出産後は、義理の両親もできる範囲でのサポートをしてくれると話してくれた。
全力で試合に挑んだ上に、完璧に家事をこなそうなんて、はなっから考えてない。たとえば、遠征中は夫婦で役割分担をしている。食事は夫の森川氏が作り、横峯は片付けをするという感じ。家族が幸せであるために、無理をしすぎないことが大事だと意識している。
「本当に恵まれているなと。1人で転戦しながら子育てすることはすごく厳しいので、(家族に)任せられるところは、甘えたいです」
勝ちたい気持ちは高まっている
復帰後の目標に「アメリカツアー1勝、国内ツアーでの永久シード」を掲げる。
永久シードとは、その選手が出場する意欲がある限り、ツアー公認の試合に出場できる権利のことである。その条件は通算30勝。横峯は米ツアーを主戦場とするため、国内ツアーの出場試合数は限られている。国内ツアーで、あと7勝を挙げることは容易ではないだろう。
しかも、2014年11月以来、ずっと優勝から遠ざかっている。
だが、「永久シードという目標は、何年もかけてやらないと達成できないし、その目標があるから頑張れます」とモチベーションは高い。何より「悔しいですよ」と横峯自身が誰よりもその事実を痛感し、優勝を渇望している。
夢だった米ツアーに参戦したものの、何度も予選落ちを喫したことで、とっくの昔に燃え尽き症候群は消え去った。
「『試合に出たい! 試合で勝ちたい!』という気持ちが年々高まっています」
黄金世代など、生きのいい若手選手たちは多い。しかし、まだ自身のゴルフに伸び代も感じている。事実、トレーニングに取り組んできたことで、米ツアールーキーだった5年前より、ドライバー飛距離が10ヤードも伸びた。年齢を重ねても、勝負できると信じている。ゴルフが好きという思いこそ、現役生活を続ける一番の原動力だ。