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横峯さくら独占インタビュー 妊娠発表も「引退はない」“ママ計画”と勝利への欲望
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byKen Ishii/Getty Images
posted2020/09/25 11:00
9月8日、妊娠を発表した横峯さくら。復帰後の目標を明確に語る表情には、充実した様子が漂っていた
「引退はないです」と即答
今年の12月、横峯は35歳になる。すでに輝かしいキャリアを築き上げ、年齢的に「引退」の2文字が頭を過ぎることもあっただろうか。
しかし、横峯は「引退はないです」と即答する。
米ツアーでは出産後に引退するより、復帰する選手の方が断然多い。無料のデイケアサービスが帯同し、働きやすい環境が整っていることで、選手は安心して出産し、そして競技復帰を選択できる。
ジュリ・インクスター、クリスティ・カー、カトリオナ・マシューなど、“お母さんゴルファー”の活躍を間近で見たことで「いつか子供ができたら、私も必ず復帰する」と以前から決めていたと横峯は語る。
ただ、ゴルフのモチベーションを失った時期はあった。2009年に国内ツアーの賞金女王になった後である。
「(プロゴルフ人生最大の目標を達成したことで)燃え尽き症候群みたいになってしまって、いつ辞めてもいいと思っていました」
プライベートと仕事を切り離さなくていいんだ
次の目標が定まらない時間を過ごしていた横峯は、2014年に森川陽太郎氏と結婚。専業主婦になって子育てすることも夢の1つだったため、ゴルフを辞めるかどうかを森川氏に相談すると、アメリカ行きを後押しされた。ジュニア時代から密かに米ツアーに憧れていたという横峯の本音を、夫が尊重したのである。
実際に米ツアーに参戦すると、これまでの価値観がひっくり返った。
何人もの選手がプロゴルファーを続けながら子育てを両立させ、試合日の朝、自身の子供と一緒に朝食を食べる――。何気ない日常だが、選手とその家族の自然体で幸せそうな様子に衝撃を受けた。
「プライベートと仕事を切り離さなくていいんだと学びました。結婚したら夫と一緒に、子供ができたら家族みんなで。その都度、現実に向き合うことが、自分と家族の幸せに繋がると考え方が変わりました」