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勝っても勝っても疑われたキタサンブラック セントライト記念で「してやったり」

posted2020/09/18 19:00

 
勝っても勝っても疑われたキタサンブラック セントライト記念で「してやったり」<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

連続勝利でも支持を得られなかったキタサンブラック。セントライト記念が転機となった

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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Satoshi Hiramatsu

 今週は東西で2つの重賞が行われる。いずれもこの後の3歳三冠最終レースにつながるトライアルレース。20日の日曜日には中京競馬場で秋華賞トライアルのローズS(GII)が行われ、翌20日の月曜祝日には中山競馬場で菊花賞の前哨戦にあたるセントライト記念(GII)が開催される。

 5年前の2015年、このセントライト記念を優勝したのが後に2年連続で年度代表馬に選定されるキタサンブラック(栗東・清水久詞厩舎)。オーナーが大歌手の北島三郎さんだった事でも有名になった名馬である。

 キタサンブラックはこの年の1月に東京競馬場・芝1800メートルの新馬戦で後藤浩輝騎手を背にデビューした。この時の評価は3番人気。しかし、そのレースぶりは実に堂々としたもの。後にGIを勝つのも頷ける強さで完勝してみせた。

支持は低くても結果は出した

 翌2月、再び東京競馬場に輸送された鹿毛の3歳馬は芝2000メートルの自己条件、500万下条件に出走した。初戦はレースぶりこそ強かったものの、稍重馬場で1分52秒3という平凡な勝ち時計だったせいか、この2戦目も14頭立ての9番人気という支持に過ぎなかった。しかし、北村宏司騎手に乗り替わったこの関西馬はまたも世間の評価以上の走りを披露する。デビュー戦同様かそれ以上に強いと感じさせる走りで、2着馬に3馬身の差をつけて見事にデビューからの連勝を飾ってみせたのだ。

 2戦2勝となった同馬を、清水久調教師はみたび、関東圏に遠征させる。丁度1カ月後の3月22日、500キロを超す雄大な馬格を持つこの若駒を、今度は中山競馬場で行われた重賞、スプリングS(GII)に挑戦させたのだ。

 後にドバイでGIを勝つリアルスティールが1番人気に推されたこのレースで、キタサンブラックは単勝12.3倍の5番人気。先述した通り初戦、2戦目と実に強い勝ち方をしていたにもかかわらず、ここもまたそれほど高い支持を受ける事はなかったのである。

 ところが彼はまたしても皆をアッと言わせる競馬をする。終始2番手を追走すると早目に先頭に立ち、最後はリアルスティールの追い上げをクビ差しのいで先頭でゴール。実に3戦3勝で重賞初制覇を飾ってみせたのである。

【次ページ】 デビュー以来、初めての惨敗

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