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勝っても勝っても疑われたキタサンブラック セントライト記念で「してやったり」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/09/18 19:00
連続勝利でも支持を得られなかったキタサンブラック。セントライト記念が転機となった
名実ともに優れた馬に
結果、キタサンブラックは清水久調教師が考えていた通りの走りを披露した。マイペースで逃げるミュゼエイリアンの2番手を追走すると、最後の直線でこの馬をパス。4分の3馬身、抜け出して自身2度目の重賞制覇を飾ってみせたのだ。
「レース前は会う人、会う人、皆に『距離は大丈夫ですか?』と質問されました。そのたび、絶対大丈夫と返事をしていたので、実際にこういう結果を出せて良かったです」
清水久調教師が、レース直後の中山競馬場で“してやったり”の笑みを見せつつそう語ったのが印象的だった。
こうして秋初戦で好スタートを決めたキタサンブラックは、続く菊花賞では更なる距離延長を克服。三冠最後の関門となる3000メートル戦で、自身初のGI制覇を飾ると、古馬になってからは先述した通り天皇賞(春)の連覇やジャパンC(GI)に有馬記念(GI)など、引退するまでに実に7つものGI制覇を果たす。当然だが、その頃にはもうこの馬に対し距離不安を唱える声は一切出なくなっていた。キタサンブラックと清水久調教師にとって、セントライト記念が大きなターニングポイントになったのは間違いない。
さて、今年のセントライト記念は各馬の今後の進路にどのような影響を与える結果が待っているだろう。勝敗だけでなく、距離適性や成長度など、色々な点に注目して見てみたい。