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創業360年超「鍵屋」15代目は、花火と柔道のコロナ禍逆境にめげていない
posted2020/09/22 17:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Rodrigo Reyes Marin/AFLO
ようやく最高気温が30度を超える日がほぼなくなり、暦の上では秋、真っただ中。しかし何か今年は、夏が終わった感じがないまま過ごしているような気がする――そんな人は多いのではないか。
海に行っていない、お盆休みで実家に帰っていない、夏の甲子園がない、どっかのフェスに行ったわけでもない……などなどあるが「花火をほとんど見ていない」というのも1つの理由なんじゃないかと思う。
新型コロナウイルス禍によって2020年、全国各地の花火大会は軒並み中止となった。ちょっと日が短くなった中で花火を見て、その帰りか寝るときにフジファブリックの『若者のすべて』やaikoの『花火』を聴く。ああ夏休みが終わるなあ、なんておセンチな気分に浸る――30代だとバレバレの描写だが、それぞれの世代で行く夏を惜しむ風景に、花火は不可欠なものだろう。
スポーツにも「花火」は存在しているが
考えてみれば、スポーツにも「花火」は存在している。プロ野球が後半戦に差し掛かったタイミングでのナイターはもちろん、Jリーグでもハーフタイム中に花火を打ち上げるクラブもあったし、柏レイソルの本拠地・三協フロンテア柏スタジアムに訪れた際に「手賀沼花火大会」が盛大に開かれていて、まさかの一挙両得をした記憶もある。
しかし今季、花火を上げた試合もあったようだが、周知の通りプロスポーツも観客が「上限5000人」と限られていたため、それを実際に目にできる機会は少なかった。
コロナウイルス禍はスポーツはもちろん、花火業界にとっても大変な事態なのは間違いないはずである。その現場にあたるはずの人々はどんな思いで過ごしていたのか。話を聞いてみたいと思い、「鍵屋」に連絡してみた。
そう、あの「か~ぎや~」である。