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これが「ドラフト最注目の高校球児10人」だ! ギータのようなスラッガー、“超進学校”の190cmショート……
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
posted2020/09/18 11:30
今年のドラフト注目の(6)加藤翼(投手・帝京大可児・179cm76kg・右投右打)
(9)寺本聖一(外野手・広島商)
シートノックが終わった外野手たちが、ホームベース付近に向かって戻ってくる。その一群からただ1人、猛烈な全力疾走の丸っこいユニフォーム姿。
ある意味、<狂気>を感じた。さっきまでシートノックのバックサード、バックホームの<肩>がすごかった選手である。
寺本聖一(外野手・広島商・170cm78kg・右投左打)という名前は知っていた。名門の選手がこんなに奔放な、伸びやかな野球をするのかとビックリした。
バッティング、最初の10球はインパクトのタイミングと芯でミートすることを確かめるように、後半の10球は自分の「MAX」を見せつけるように、技術とパワーの両面を発揮して、打撃センスを存分に披露した。
会って話してみたくて、このあとすぐに学校にお邪魔した。
近くで「野球」を見せてもらって「この選手獲ったら、3年先から向こう10年、『1番打者』の心配いらないんじゃないか」……私は密かに本気でそう考えている。
(10)井上幹太(外野手・神村学園)
デカいといえば、打席で構えた姿がデカく見えたのが、井上幹太(外野手・神村学園・183cm90kg・右投左打)だ。
ギータ(ソフトバンク・柳田悠岐)だと思った。ギータだから、ブンブンいくのかと思ったら、頭の動かないスイングから、右中間、左中間へライナー性の打球がガンガン飛んでいく。
引っ張った打球と、逆方向の打球の両方が同じスピードと飛距離で飛んでいくから驚いた。高校生の打球はどちらかに<優劣>ができるのが普通だ。
インパクトの打球音が違う。カーンとか、コーンじゃない。「カシャキーン!」と聞こえる。プロ野球のキャンプで聞こえてくる快音だ。インサイドアウトのスイング軌道で、芯を食っている証拠だ。
これだけのスラッガーの名前が、どうして聞こえてこなかったのか…左ヒザ半月板損傷で、半年以上のブランクがあったそうだ。その<空白>がなかったら、九州でも有数のバットマンになっていたはずだ。
埋まったままになりそうだったスラッガーの卵を、ギリギリで発掘した。それも、今回の「合同練習会」の大きなお手柄だった。
(※関連記事より【前回を読む】吉田輝星を思い出させる逸材、190cm超え“栃木の右腕”……「ドラフト最注目の高校球児10人」とは? もぜひご覧ください)
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