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「伝説のビール売り子」おのののかと結婚 28歳“モヒカン”塩浦慎理ってどんなスイマー? 

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田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

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photograph byJMPA

posted2020/09/18 11:00

「伝説のビール売り子」おのののかと結婚 28歳“モヒカン”塩浦慎理ってどんなスイマー?<Number Web> photograph by JMPA

9月9日、タレントのおのののかと結婚したことを発表した塩浦慎理

「水の中で身体が動かしやすくなりましたね。水に乗る感覚というか、スムーズに自分の力を水に伝えられて、それが推進力になっている感じです」

 もともと水の感覚が鋭く、それを一つひとつ分析し、細かく修正を加えていくことで完成されていた塩浦の泳ぎが、パワーに傾倒することによって微妙なズレが起こり、それを力で修正するような泳ぎになっていた。

 体重が10kg近く減り、パワーという呪縛から、不可抗力ながら解かれたことで、塩浦本来の、その大きな体躯からは想像もできない、繊細な感覚を重視する泳ぎを取り戻したのである。

 短距離選手は、非常に感覚が鋭く、細かい。それを突き詰めて考えていく作業は、まさにマニアの世界。そういう素養があったのだろう。

なぜ“モヒカン”を続けているのか

 塩浦の“マニア心”を感じさせるのがコーヒーだ。水泳界でも有名なコーヒー好き。遠征で行く先々にドリッパー、ポット、ミル、そしてコーヒー豆を持っていき、自分で淹れるのが日課だ。自分をリラックスさせてくれるものに出会った瞬間、彼のマニア心がくすぐられたに違いない。淹れ方は当然、豆の産地による香りや味の違いも把握しているほどだという。

 また、塩浦の特徴でもある“モヒカン”。これも続けている理由が、塩浦らしさに溢れている。

「最初は、顔を覚えてもらうためにやっていたんですよ。奇抜な髪型だったら目立つかなって。でも、もういいかなと思って、友達とかに『やめようと思うんだけど』と言ったら、いろんな人から逆に反対されちゃって。結局、やめ時を見失って、今にいたります」

 我が強ければ、他人に何を言われようと貫けるのだろうが、友達の意見を素直に聞いてしまうのも、何とも性根が優しい塩浦らしいではないか。

 面倒見が良く、後輩からの信頼も厚い。頼れる“兄貴分”は、自由形短距離で世界を獲るべく今も自分の泳ぎと感覚を分析しながらトレーニングを続ける。

「リオデジャネイロ五輪前よりも、今年の冬場のほうが追い込めていた感覚があります。だったら、また来年に向けてもう一段階上に行くために、もっと追い込むことができるはず。まずは10月の日本選手権(25m)で勝負できる身体を作りたいですね」

 生涯の伴侶を得て、心の安らぎを得た塩浦に、向かうところ敵なし。世界のスプリンターたちと肩を並べてメダル争いを繰り広げる。そんな姿を塩浦には期待したい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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