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大坂なおみ圧巻のサーブ力。ファースト84%、強化したセカンド69%。もう1つの理由は……。
posted2020/09/08 17:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
世界ナンバーワンのノバク・ジョコビッチが失格負けという衝撃は、コロナにピリピリするこの大会をいっそう不穏なムードにし、強烈な後味の悪さを残した。現地時間で夕方4時頃だったが、大坂なおみはそのときナイトセッションに備えて眠っていたという。夜の2試合目ということは、試合終了が真夜中を過ぎる可能性は十分ある。
「見てはいないけれど、あとで知って、なんていうか、気を付けなきゃと思った。私はとにかくラケットは叩きつけないようにしているけど、 ときどきはやってしまうし」
しかし、衝撃の余韻が残っていそうなアーサー・アッシュ・スタジアムで4回戦を戦ったこの日の大坂は、そんな悪態につながる要素がどこにも見当たらなかった。
グランドスラムでこんなに強い大坂を見るのは久しぶりかもしれない。
昨年の全豪オープンで優勝したのを最後に、全仏3回戦、ウィンブルドンはまさかの1回戦、1年前の全米オープンも4回戦止まりと不振が続いたが、ようやく準々決勝というワクワクする舞台に戻って来た。
サービスゲームは特に安定していた。
世界ランク21位のアネット・コンタベイトとは前哨戦のウエスタン・アンド・サザン・オープンの準々決勝で対戦したばかり。4-6、6-2、7-5と苦しめられたが、この日はほとんどのラリーの主導権を握り、食い下がるコンタベイトを振りほどくように、畳み掛けるように攻め、スコア以上に差を感じさせた1時間12分だった。
特に安定していたのはサービスゲーム。一度もブレークポイントを握らせなかったばかりかデュースにすら持ち込ませなかった。ファーストサーブでのポイント獲得率は84%で、1回戦から76%、79%、82%と右肩上がりだ。1つの目安のために紹介するが、昨シーズンを通しての平均でツアートップは79.6%。大坂は71.9%で13位だった。