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大坂なおみ圧巻のサーブ力。ファースト84%、強化したセカンド69%。もう1つの理由は……。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2020/09/08 17:00
大坂なおみの武器と言えば男子選手顔負けのサーブ。それが今回の全米ではさらに効果を発揮している。
「特に力を入れて練習した」こと。
実はこの数字を支えているのが、ツアー中断中に取り組んだセカンドサーブの強化だ。
「セカンドサーブは特に力を入れて練習した」と大坂は前哨戦でも今大会でも繰り返し言っている。ツアー屈指のデータマンとして知られるコーチのウィム・フィセッテは、より具体的にこう説明していた。
「彼女のファーストサーブはもともと良かったし、大事な場面で最高のサーブを打てていた。僕たちが集中して取り組んだのはセカンドサーブだ。セカンドサーブでのポイント獲得率を見れば、彼女ほどの選手にしては十分とはいえなかったからね。セカンドサーブ自体の質を上げることはもちろんだが、返ってきたリターンに対するショットの質を上げる必要があった」
セカンドサーブでもポイントを取れる。
コンタベイトとの試合の第1セットでは、セカンドサーブでのポイント獲得率86%という高い数字を記録した。試合全体では69%だが、それでもここまでの4試合でもっとも高い。これも参考のために出すと、昨シーズン平均でのトップが66.7%。大坂は62%で7位だった。
男子並みにキックするスピンサーブ、コートの外へ逃げていくスライスサーブ……コースや球種に質の高い変化をつけて、簡単に攻め込むことを許さない。そしてフィセッテが言うように、相手にリターンに対するショットの攻撃性が増した。
セカンドサーブでもポイントを取れると自信がついたことで、ファーストサーブの失敗を恐れず思いきり打てるようにもなった。だからファーストサーブのポイント獲得率もより高まったのだろう。
「今のなおみは自分の強みに自信を持っている。先にブレークさえすれば、もうサーブを落とさないという自信があるから、よりリラックスして彼女の良さが出てくるんだ」とフィセッテ・コーチ。ここまでの4試合で先にブレークを許した試合はない。コンタベイトには試合開始早々2つのダブルフォルトをもらい、そのチャンスを生かしてブレークしたことで試合を終始優位に進めることができた。