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柳田将洋が4シーズンぶり復帰のサントリーに与える刺激「新人同然なのでハツラツと」
posted2020/09/09 11:40
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
「新参者感がありますね。人がかなり変わっているので」
男子バレーボール日本代表主将の柳田将洋はそう言うが、4シーズンぶりに戻った古巣の体育館は居心地がよさそうだった。
今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や、東京五輪の1年延期という事態の中、昨シーズンまで海外リーグでプレーしていた選手たちは、それぞれに難しい決断を迫られた。
引き続き海外でプレーすることを選んだ選手もいれば、国内のVリーグを選んだ選手もいる。昨季までドイツやポーランドでプレーした柳田は、4季ぶりに国内のサントリーサンバーズに復帰することを選んだ。
古巣復帰は「2021年」を重視した決断
それぞれの決断には、その人が今、何にもっとも重きを置いているかが表れている。
柳田の場合は、「2021年(東京五輪)があるので、そこにベストコンディションで向かえる環境」という点を重視した。
柳田は、「僕は(休むと)戻すのにものすごく時間がかかる体質」だと自覚している。それだけに、この春の自粛期間には危機感と焦りが募った。
例年なら、海外のリーグを終えて帰国すると、すぐに代表合宿に合流するため、練習環境に困ることはない。秋に国際大会が終わるとまたすぐに海外のチームに合流し、リーグ戦に出場するというサイクルだった。
しかし今年は新型コロナウイルスの影響で4月6日に代表合宿が解散になり、その後は自宅でのトレーニングしかできなくなった。国内のチームは徐々に練習を再開したが、海外のチームはいつから活動し、いつ合流できるのかわからなかった。
結果的には代表合宿が6月下旬から8月中旬まで再開されたが、それも当初は未定だった。海外のチームと契約した場合、国内で十分な練習ができないままリーグ前に渡航して開幕を迎えなければならない可能性もあった。
「自分はバレーから離れると取り戻すのに長い期間が必要なので、今までのシーズンのように、ポンと海外に行って、ポンとプレーできるのかと言われたら……」
その状況では、思うように活躍できないばかりか、怪我という最悪のケースも考えられる。できるだけ早くバレーボールの練習を再開し、リーグの開幕までに時間をかけて準備できる環境は、柳田にとって重要な要素だった。