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柳田将洋が4シーズンぶり復帰のサントリーに与える刺激「新人同然なのでハツラツと」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/09/09 11:40
4季ぶりにサントリーに復帰した柳田。古巣とはいえ、在籍当時に共にプレーしていた選手はたった4人のみだという。
リーグ開幕へ体づくりも着々
「昨年もあったように少し怪我が増えていることもありますし、今のこの状況で、海外のチームの環境やサポートがいかほどかというところも考えました。レベルのことも含めて、本当にいろいろな面を考えましたが、日本のリーグもレベルが高い。そう考えたら、日本にもう1回チャレンジしてみたいなと。
(五輪が)2021年になったことが自分のその決断を加速させたかなというのはあります。サンバーズは10年以上優勝から遠ざかっているチームなので、ここでタイトルをつかんで歴史を作って、2021年に、というチャレンジもかなり大きな、価値のある挑戦なのかなと思いました」
サントリーには6月から合流し、監督やコーチ、トレーナーと相談しながら綿密なプランを立てコンディションを上げてきた。
「1カ月半ぐらい経ってやっと普通の選手っぽくなってきたなという感じでした(笑)。しっかりと時間をかけてまた体を作ることができているというのは幸いですね。まだリーグ開幕まで1カ月少しあるので、ギアをもう1つか2つ上げられたらと思っています」
コンディションを考慮して、8月に行われた日本代表の紅白戦はわずかな出場だったが、現在は完全復帰している。
欧州でステップアップ、いまや代表の主将
柳田は慶應義塾大学を卒業した2015年にサントリーに入社し、2年間プレーした後プロ選手となり、キャリアを海外に移した。ドイツリーグのビュール、ポーランドリーグのルビン、ドイツのフランクフルトと3シーズン、ヨーロッパでステップアップし、'18年からは代表の主将を任された。
海外リーグでプレーする柳田を取材して一番に感じたのは、「こんなにタフな選手だったのか」ということだった。
海外では、日本では経験できない高いブロックと日常的に対峙し、強力な相手サーブのプレッシャーに常にさらされた。最初はほとんど英語を話せず、日本とは違う食事やコンディショニングの難しさにも悪戦苦闘しながら、試合でのプレーや積極的なコミュニケーションで周囲からの信頼を勝ち取り、自分の居場所を毎年ゼロから築き上げた。英語はあっという間に上達し、刺激にあふれた海外での生活やプレーを生き生きと堪能していた姿が印象的だった。
それだけに、古巣でのシーズンを物足りなく感じるのではないかという勝手な心配がよぎった。しかし柳田はこう言い切った。
「そうなると思ったら、ここに移籍する選択はしてないと思います」
そして柳田がサントリーに合流して練習する姿を見た時、そんな心配が杞憂だとわかった。