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「歴史に乗っかりたい!」樋口新葉が抱く、トリプルアクセルにかける想い。 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byAsami Enomoto

posted2020/09/05 11:40

「歴史に乗っかりたい!」樋口新葉が抱く、トリプルアクセルにかける想い。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

昨年12月の全日本選手権ではSP4位からFSでほぼノーミスの演技を見せ138.51点。総合206.61点で2位となり、3年ぶりの表彰台に登った。

昨年12月に跳べたときに自分の動画を見たら──。

「結局、女子はみな違う跳び方でクセがあるなと思いました。男子みたいにしっかり筋力を使って勢いよく跳ぶほうが、綺麗で高さも出ます。

 いろいろやっているうちに、昨年12月に跳べたときに自分の動画を見たら『すごく良いアクセルを跳べてるな』と思えたので、もう他の選手の動画は参考にしないで、自分の感覚を大事に行こうと決めました」

 昨年12月の全日本選手権が近づくにつれて、トリプルアクセルは絶好調。その練習を見ていた佐野稔コーチが動画を撮影し、自身のSNSにアップロードしたことから、ファンの間でも「樋口新葉がトリプルアクセルを跳ぶぞ」と話題になった。

「全日本選手権は、すべてのジャンプをミスなく跳ぶことを目標にしていたので、実はトリプルアクセルを入れる予定はありませんでした。まずは全日本では順位という結果を出して、四大陸選手権や世界選手権が決まったらそこでトリプルアクセルを、と考えていました」

「『本番でも跳べるな』という感覚でした」

 全日本選手権は、トリプルアクセルを封印すると、力強い演技で3年振りの表彰台へと返り咲く。

「やっぱり全日本選手権は、ほかとは意味の違う大会。ラッキーとかではなく本当の実力で、日本のトップグループに入れたという実感があって、嬉しかったです」

 2月の四大陸選手権、そして3月の世界選手権への出場権を獲得したことで、トリプルアクセルを試合で挑戦する気持ちが固まった。

「1月1日も神宮に行って滑って、3回転は全種類とも跳びました。四大陸選手権は絶対にトリプルアクセルを跳ぼうと決めたので、1月10日からアクセルの練習を再開して、すぐに感覚を思い出せて、全日本選手権前の練習とおなじくらいの確率で跳べるようになりました。

 四大陸選手権に行く前は、フリーの冒頭の3本『トリプルアクセル、3回転ルッツ+3回転トウループ、3回転サルコウ』まではノーミスでできるようになっていたので、『本番でも跳べるな』という感覚でした」

【次ページ】 練習リンクと本番リンクの氷の質がかなり違った。

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樋口新葉
エリザベータ・トクタミシェワ

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