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「歴史に乗っかりたい!」樋口新葉が抱く、トリプルアクセルにかける想い。
posted2020/09/05 11:40
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto
フィギュアスケート開幕に向けて、本番さながらのプログラムを披露するアイスショー「Dreams on Ice 2020 Go for Tomorrow」が9月12、13日に開催される。
今季の前哨戦ともいえるこのショーに向けて、トリプルアクセルの練習に精を出しているのが樋口新葉だ。感覚さえ良ければ、13日のフリーでトリプルアクセルを入れると言う。
2018年の世界選手権銀メダリストでもある樋口にとって、今季の目標はただひとつ、女子史上11人目のトリプルアクセルを降りること。
「男子みたいにスピードや筋力を使って、ボンッと跳びたい。その方がクオリティも高くてカッコイイから。私も歴史に乗っかりたいです。
昨季は、最後の最後となる試合でやっと入れたという感じでした。今季は、シーズンに入る前からトリプルアクセルの感覚を安定させて、初戦から入れて行きたいです」
自分と感覚が合うのは、男子のほうだった。
もともとジャンプが得意だった樋口にとって、トリプルアクセルは子供の頃からの夢。初めて練習で降りたのは、2018-19シーズンだった。
「ホームリンクの神宮(明治神宮外苑アイススケート場)で練習中に、ポンッと跳べたんです。16年くらいから練習は始めていたけれど、綺麗に降りたのは初めて。でも試合のことや怪我のことで頭もいっぱいだったので、感覚をつかむところまでは行きませんでした」
本格的な練習は、'19年の夏から。最初は、女子の動画をみて研究した。
「例えばエリザベータ・トクタミシェワ(ロシア)は、助走がなくて軽くポンッと跳びます。あの軽さで跳べるようになれば、直前につなぎのステップを入れたりできるので、使いやすいトリプルアクセルになるだろうな、と思いました」
何人かの女子の跳び方を真似てみたが、しっくり来るものがない。
それもそのはず。男子に比べて筋力が弱い女子は、回転軸に入るタイミングや、回転のかけ方を工夫することでトリプルアクセルを跳ぶ。
もともとスピードや筋力がある樋口にとって、自分と感覚が合うのは、男子のほうだった。