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SNS発信から一転出場の経緯とは。
大坂なおみ22歳の重大さと影響力。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2020/09/01 10:00
大坂なおみのSNS発信が与えたインパクトは大きかった。全米オープンでは2018年以来2度目となるタイトル獲得への戦いに挑む。
悩みぬいた決断だったと信じたい。
そうした苦悩を乗り越え、準決勝ではメルテンスを6-2、7-6(5)で退けたが、結局、決勝戦を棄権した。抗議とはまったく関係なく、初戦のあとに違和感のあった左太股が準決勝で悪化したためだった。
ケガならしかたがない。そうわかっていても、ビクトリア・アザレンカとの女王対決の行方、願わくばチャンピオンとして表彰台でどんな声を世界に届けるのかを聞きたいと期待していたこともあり、肩すかしを食わされたような心境は否めない。
まだ22歳、本当の強さを得れば。
ただ考えてみれば、まだ22歳の若さである。
己の存在の重大さと影響力、その役割を心底理解し、それに耐えるメンタル、それに応えるフィジカルを実現するまでにはもう少し時間が必要だろう。その強さを得たとき、今よりさらに高いステージにたどり着くことができるに違いない。
そして、成熟したオピニオン・リーダーとしても真に世界から認められるのではないか。そんな気がする。