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佐藤琢磨の偉業で蘇る10年前の記憶。
一番大切な「レース」を見失わず。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2020/08/29 20:00
ハミルトンが羨望し、3度目のインディ500参戦のアロンソが届かなかったチャンピオンリングが、琢磨の指に輝く。
大切なのは「どこで」より「どんな」だ。
その決断は間違ってはいなかった。'13年にインディカー・シリーズ第3戦ロングビーチにおいて、日本人としてインディカー・シリーズ初優勝を飾る。'17年にはF1のモナコGP、ル・マン24時間レースとともに世界三大レースのひとつであるインディ500を制覇。そして今年、その伝統の一戦で2度目の優勝を果たした。
104回の歴史を持つインディ500で複数回優勝したドライバーは、今回の琢磨を含めて20人しかいない。いまや琢磨は日本を代表するレーシングドライバーというだけでなく、アメリカのモータースポーツ界のレジェンドになったといってもいいだろう。
今回の琢磨の偉業は、さまざまなカテゴリーでレースを戦っている多くのレーシングドライバーに勇気を与えたに違いない。
大切なことは、どこでレースをするかではなく、どんなレースをするか、だと。