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なぜレッドブル・ホンダは優勝できた?
特別なレースを制した、その舞台裏。
posted2020/08/10 11:30
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
「F1 70周年記念グランプリ」――これは2020年のF1第5戦としてイギリスのシルバーストン・サーキットで8月7日から9日まで開催されたグランプリ名だ。
F1が初めて世界選手権として開催されたのが、1950年の5月13日。その舞台となったのがシルバーストンだった。今年はその70周年にあたり、特別に「F1 70周年記念グランプリ」という名誉ある名前が与えられたわけだ。
なぜ、特別な名称が与えられたのか。
それは、ほかの多くのスポーツイベントがそうであるように、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響を受け、F1も変則的なスケジュールを取らざるを得ない状況となっているからである。
毎年秋に予定されていた日本GPが中止となっただけでなく、世界各国で予定していたグランプリも軒並み開催を断念。その中には、今年は35年ぶりにF1に復活する予定だったオランダGPもあった。
鈴鹿を気にかけていたフェルスタッペン。
開幕前、オランダ人ドライバーのマックス・フェルスタッペンにそのことを尋ねると、こうコメントしてくれた。
「日本とオランダの2つのグランプリが中止になったことはとても残念だ。母国で、クレイジーな地元のファンに会うのをを本当に楽しみにしていたし、鈴鹿は僕が初めてグランプリの週末にF1マシンを走らせたところ。そこでホンダのパワーユニットを搭載して走るということは、僕にとって特別なことなんだ。
その2つの特別な場所でレースができないのはとても残念だけど、その分、今年は僕たちを応援してくれるファンのために、ベストを尽したい」
こうして、開幕した'20年シーズンのF1はヨーロッパ内でスタートを切り、かつ新型コロナウイルスの感染拡大を防止するという観点から、無観客レースで開始されたのである。
また移動をできるだけ少なくしてレース数を増やすために同じサーキットでの連戦を行うなど、例年とは異なる日程となった。