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佐藤琢磨、苦難のシーズンを終え、
インディカーでの2勝目を誓う。
posted2014/12/01 10:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
TS Enterprise
2013年に日本人としてインディカーシリーズ初優勝を飾り、“シリーズ2勝目”を目指した佐藤琢磨は今季、未勝利でシーズンを終えた。
インディ参戦100レースが近づいているベテランドライバーは、苦しいシーズンで何を掴んだのだろうか。
期待を背負って臨んだ開幕戦は、見事ポールポジションを獲得。このレースを琢磨はこう振り返る。
「AJフォイト・レーシングは、冬のテストでデータをしっかりと積み重ねて、そのアドバンテージを生かすチームです。開幕戦はポールポジションを掴んだことで、新しいシーズンも僕らはパフォーマンスを維持できていることに自信を得ました。ただ開幕戦のレース自体は、2種類のタイヤのマネジメントがうまくいかなくて、7位となりました。
複数回の優勝を目指したシーズンで、優勝という目標が叶わなかったという点では、残念だったのですが、ただ上手くいかなかったこと一つ一つに、明確な理由があったんです」
結果が出なくても保守的にならず、挑戦しつづけた。
わずか5カ月で18レースを戦うインディは、ドライバーにとっては苛酷なスケジュールである。決勝では二桁順位が続くなど、結果の出ない日々のなか、37歳のベテランドライバーでさえ、モチベーションの維持に苦労したという。
浮上のきっかけは、シーズン後半となる第14戦トロントでのレースだった。
「なんでここまで不運が続くのだろうと悩みました。何度もトップを走りながら、全くリザルトが残りませんでしたから…… 。でも、苦しい状況の中で嬉しかったのは、エンジニアのドン・ホリデイをはじめ、チームは一度たりとも、モチベーションを失わなかったこと。
リザルトが出ないときは、チームはコンサバになりがちだけれども、僕らはずっと挑戦し続けていました。今年はマシンのセットアップを革新的に変えていたんです。これまではストリート、ロード、オーバルとコースの特性によってセットアップを分けて考えていたんですが、今年は同じ考え方で取り組みました。オーバルのセットアップはロードにもっていけるんじゃないか、ロードやストリートのセットアップをオーバルで使えるんじゃないかと。その双方向のいったりきたりをうまくやって、結果が出始めたのが、後半戦だったんです。
トロントでは、雨のレースを味方にして、ようやく不運の連鎖を断ち切れました。いくつも波乱とアクシデントをかわしながら、最後尾から5位入賞まで追い上げることができました」
その後、17戦のソノマでは今季最高位の4位入賞。最終18戦フォンタナでは、6位フィニッシュとなった。