マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「悲壮感のない甲子園」を初めてみた。
もしかすると本当はこの形の方が……?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/08/22 08:00
観客席がガランとしている分だけ拍手や手拍子はクリアに聞こえてきた。高校野球の原型を見た思いだ。
この夏を生きた高校生たちへのお願い。
来年の高校野球がどんなふうになるのか。それはまだ誰にもわからないが、コロナ禍が終われば、また「いつもの甲子園」が戻ってくるのだろう。
その中で、特別な「2020甲子園」を戦って、晴れやかな顔で高校野球を全うした球児たちに会えて、本当によかったと思う。
いつもの甲子園では感じたことのなかった「爽快感」があった。
日本じゅうの3年生の高校球児たちに、私はお願いしたいことがある。
この春、およそ3カ月にもおよぶ「自粛」のブランクに、自分たち球児がどう揺れ、どう悩み、どう踏みとどまって、どう生きたのか。
甲子園のひと試合の後に私たちに語ってくれたその「3カ月の歴史」を、ぜひ、後に続く後輩球児たちに語り残してほしい。
今すぐにでもいいし、何年かして頭と心の中が整理されてからでもいい。
同じ時期を、報道の1人として生きた者として、今年の3年生球児たちに、どうかよろしく……とお願いしたい。