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トッティ以来セリエAで欧州得点王。
凡庸扱いのインモービレ、遂に栄光。
posted2020/08/17 11:30
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph by
Getty Images
新型コロナウイルス感染症拡大による中断の中、一時期は中止も懸念されていたセリエAも8月2日になんとか日程終了。新シーズンの開幕が9月19日に設定されたため、選手は文字通りつかの間のシーズンオフを送っている。
ラツィオのFWチロ・インモービレは、南イタリアのソレント半島をバカンスで訪れた。出身地に近く、自身も幼少の頃には地元のソレントに所属していたからだ。
そして近隣ポジターノのレストランで夕食をとっていると、地元のお菓子屋さんからヨーロッパ・ゴールデンシューのトロフィーを模ったケーキの差し入れが寄せられたのだ。
今シーズン36ゴール。ヨーロッパではロベルト・レバンドフスキ(ブンデスリーガ/バイエルン)を抜き、今シーズンの「ヨーロッパ・ゴールデンシュー(欧州各国リーグで最も得点をあげた選手への賞)」に選出されることとなった。イタリア人としてはフランチェスコ・トッティ以来13年ぶり、史上3人目の快挙だ。
カッサーノらからは低評価だが……。
イタリア国内で見れば、その記録の持つ意味はもっと重い。
4年前、当時ナポリに所属していたゴンサロ・イグアインがグンナー・ノルダールの樹立した最多得点記録を66年ぶりに抜いたが、インモービレはそれに並ぶ数字を達成したのだ。そしてレガ・セリエAはシーズンMVPの他に各優秀選手を発表し、インモービレはFW部門の最優秀選手に選ばれた。
ただ、この人にはネガティブな評価が付きまとう。
「点を取ることが上手いとは限らねえんだよ」とアントニオ・カッサーノ氏をはじめとした元サッカー選手にには言われ、新聞には「凡庸なイタリアサッカーの反映」と書かれることもあった。
「インモービレは決して規格外の選手ではない。それでも彼がゴールを量産することができるのは、それがラツィオだからだ」
衛星放送『スカイ・イタリア』で解説を務めるジュセッペ・ベルゴミ氏が番組内で発言することもあった。
しかし実績の上では、彼に並び立つ現役のイタリア人ストライカーは誰もいない。ラツィオ所属の4シーズンで20ゴール越えはこれで3度目、セリエAで3度、セリエBで1度の得点王を記録した。少なくとも得点能力という点において