オリンピックへの道BACK NUMBER
「自分を見失った」瀬戸大也は
五輪延期に希望を見いだせるか。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2020/08/10 08:00
今年1月、北京で行われたチャンピオンズスイムでも自己ベストを更新する泳ぎを見せていた。
フェルプスの世界記録は「超えたいです」。
それでもなおもがき、苦しんでいる。
ただ、光がないわけではない。
この日のイベントのテーマは「夢」。
「オリンピックが夢の舞台であることは変わりません」
最も得意とする400m個人メドレーに関しては、偉大なスイマーに触れつつ、こう語っている。
「(マイケル・)フェルプス選手の世界記録は意識しています。そこは超えたいです」
心の中から、オリンピックへの意思がすべて失われたわけではない。自分をみつめ、向き合う中で、前を向こうとする自分がいることも理解している。
その思いが、今は小さくても、光となる。やがて推進力となる。
だからきっと、完全なる復調への「兆し」となる材料も、見逃すことなく、いつか、みつけられるはずだ。
「(オリンピックが)なくなったわけではないので、少しの希望はあります」
長年追い続けてきた、オリンピックでの金メダルという夢への道はまだ終わっていないし、終わらせようとも思っていない。来年の開催の可否について、すっきりしているわけではなくとも……。
瀬戸大也の、世界一への挑戦が、続いていく。