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攻める瀬戸大也、再起の萩野公介。
アジア大会でWエースが問題解決中。
posted2018/08/24 07:00
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph by
AFLO
400m個人メドレーにおいて、日本人選手として初めて世界水泳選手権を2連覇した瀬戸大也(ANA/JSS毛呂山)。そしてロンドン五輪で高校生ながら同種目で銅メダルを獲得、4年後のリオデジャネイロ五輪では金メダルを獲得した萩野公介(ブリヂストン)。
ともに世界一を経験し、日本国内のみならず、世界の注目を集めるふたり。インドネシア・ジャカルタでの第18回アジア競技大会では、萩野も瀬戸も、自分が抱えている問題を解決することに徹していた。
瀬戸は昨年、世界水泳選手権で3位に敗れた。このレースでどこか自分らしさがないことに気づいた。平泳ぎの時点で3連覇は無理だと気づいた瀬戸は、すぐさま周囲の状況を把握し、銅メダルを取りにいくレースをしたのだ。
結果を残し続けることの大切さを重視すれば、瀬戸の選択は間違っていないし、むしろ社会人スイマーとして最適な判断を下したと言える。だが、これまで“100かゼロか”の気持ちで臨んでいた瀬戸としては、納得いくものではなかった。
「自分はメダルがほしかったのか?」
その問いの答えは、明白だった。瀬戸は誰よりも速く泳ぎ、世界の頂点に立ちたいのだ。それが望みだったにも関わらず、目の前のメダルを獲りに行った。その気持ちのもやもやは、なかなか晴れなかった。
瀬戸がパンパシでつかんだ手応え。
しかし、今年8月9~12日に行われたパンパシフィック水泳選手権の400m個人メドレーでは、全身からあふれ出る気迫を見せた。バタフライから積極的なレースを展開し、背泳ぎを終えた時点での200mラップタイムでは1分58秒63と、今までにない速さで前半を折り返した。
勢いでそのまま押し切るかと思われたが、後半に疲れから失速。結果としては4分12秒60と、瀬戸としては平凡なタイムで3位となった。しかし瀬戸の表情は、世界水泳選手権での3位のときと違い、とても晴れやかだった。
「平泳ぎの後半から、ガクッと疲れが来てしまいました。でも負けることから学ぶこともありますし、こうやって前半から積極的にいかないと、自分らしい爆発力を作り出せないと感じています」