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“感情の爆発”が新記録の秘訣!?
水泳日本選手権、中高生たちに思う。
posted2015/04/22 10:30
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph by
AFLO
アスリートが見せる素直な喜怒哀楽は、見るものの心を揺さぶる。素直な感情表現は選手自身の記録や結果につながり、選手が成長するために必要な要素でもある。
そう強く感じさせてくれたのが、世界への切符を掴むための登竜門である、4月中旬に行なわれた競泳の日本選手権だった。
競泳の日本代表選考の厳しさは、よく知られている通り。日本水泳連盟が独自に設定している派遣標準記録は、世界ランキング16位相当を目安としており、リレー種目においては12位相当の記録が設定されている。その狭き門を突破した者のみが手にできる世界への挑戦権争いは今回も激しい戦いとなり、様々な感情が交錯する6日間となった。
ハイレベルな記録を持つ中学生の台頭が際立つ。
今大会、大きな話題となったのは若手の台頭だ。選手寿命が長くなり、日本代表選手のほとんどが大学生と社会人で占めるようになってからは、中学生や高校生が日本選手権の決勝に顔を出すことも少なくなった。
ところが、14年ぶりとなる中学生での日本代表入りを果たした池江璃花子(ルネサンス亀戸)を筆頭に、今大会は特に中学生が大活躍を見せる。大会を通して樹立された「新記録」は全部で15。そのうち11が日本中学新記録で占められており、自由形とバタフライの池江に加え、背泳ぎの酒井夏海(スウィン南越谷)、平泳ぎの今井月(本巣SS)、宮坂倖乃(コナミ北浦和)らがそれぞれ表彰台に上った。
中学記録とはいえ、今井の200m平泳ぎにおける2分23秒55などは、派遣標準記録を突破するほどのレベル。結果的に日本代表入りを果たした中学生は池江のみだったが、これほど中学新記録コールが鳴り響くのは、萩野公介(東洋大学)や瀬戸大也(JSS毛呂山)が中学3年生だった2009年以来である。