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戦列復帰の田中将大にみなぎる自信。
打球直撃後も「できること」を貫き。
posted2020/08/07 08:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Imagaes
いつもと変わらない、柔和な笑顔が、自信の表れだった。
ヤンキース田中将大が8月1日、本拠地ヤンキースタジアムのマウンドに帰ってきた。レッドソックス相手に3回途中まで2失点(自責1)。事前の予定通り、メドとされた50球を超えた51球の試運転で今季のスタートを切った。
ここまでフリー打撃登板などで調整してきたとはいえ、本格的な実戦登板は3月のオープン戦以来、約5カ月ぶり。打者との対戦感覚は「なくなってますよ」と笑う一方、速球は最速94マイル(151キロ)を計測するなど、力強さを感じさせる初登板だった。
「これからギャップを埋めていかないといけないですけど、その中で今持っているものは出せたと思う。ここから確実に上がっていくと思うので、1つずつステップを踏んでいければいいと思います」
打球直撃もその後は順調に回復。
新型コロナウイルスの感染拡大で、公式戦開催が延期されただけでなく、不測のアクシデントで調整が大幅に遅れた。サマーキャンプが始まった直後の7月4日、実戦形式の練習に登板した際、ジアンカルロ・スタントンがはじき返した時速112マイル(約180キロ)の打球を頭部に受け、マウンド上で昏倒した。
病院へ直行すると「軽い脳振とう」と診断され、その後は安静期間が必要となり、戦列離脱を余儀なくされた。それでも、その後は極めて順調に回復し、実質的には先発登板を1回飛ばすだけでローテーションに復帰した。
とはいえ、突貫工事の急仕上げで無理に戻ったわけではない。通常のシーズンであれば、マイナーで数試合の実戦登板をこなし、徐々に球数を増やすプロセスをたどるはずだった。だが、マイナーリーグが中止となった今季は、それもままならない。復帰登板が50球限定の「試運転」になったのも今季ならではだった。