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戦列復帰の田中将大にみなぎる自信。
打球直撃後も「できること」を貫き。
 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byGetty Imagaes

posted2020/08/07 08:00

戦列復帰の田中将大にみなぎる自信。打球直撃後も「できること」を貫き。<Number Web> photograph by Getty Imagaes

頭部を守るためにプロテクター入り帽子を着用した田中。自身のツイッターで「次はもっと良くなると信じています!」とコメントを残した。

1勝の価値が倍増するシーズン。

 60試合の短期決戦。当初は、開幕から100%の状態で突き進む覚悟だった。ただ、自らがアクシデントに見舞われた以上、調整ペースを軌道修正するしかない。

 しかも、同地区内のみの対決で、さらにコロナ禍の影響で試合延期や日程変更が続出する事態。ベンチ入り枠が拡大した一方で、7イニング制のダブルヘッダーが増えることは確実視され、過去のセオリーや球界内の常識が、必ずしも通じるとは限らない。

「ただでさえ、調整不足の中、開幕したわけじゃないですか。投手の起用法、球数とか、新たなものが出てくるかもしれないですし、その中で自分ができることを見つけてチームに貢献できればいいと思っています」

 例年通りであれば、トレード期限として設定される7月31日までに大型トレードが続々と成立し、「勝ち組」と「負け組」の色分けが顕著となるはずだった。ところが、今季は102試合を消化して、全30球団が勝率5割で並んで開幕した状態。しかも、ポストシーズン出場枠が各リーグ5チームから8チームに拡大されたことで、最終戦までもつれ込む可能性は高い。

 裏を返せば、1勝の価値が倍増し、消化試合は激減する。どのチームにもチャンスがあり、気が抜けない戦いは続く。

力まず、本来の投球スタイルで。

 ただ、調整途上の田中は、目先の試合だけを見ているわけではない。

「マウンドに上がったら自分の投球をするだけ。1試合、1勝の重みもショートシーズンになればなるほど上がってくると思います。ただ、それで力んでやろうとすると、自分の本来のスタイルから離れてしまうことになりますから、そういう気持ちはないですね」

 短期決戦の特殊なシーズンとはいえ、田中が見据えるのは、過去メジャー6年間で未だ届かぬ世界一。

 今は、エンジンを徐々に温めるアイドリング状態で、アクセルを踏み込むのは、この先――。

 不測の事態を、表面的で一時的なマイナス材料と考えないところに、田中の本当の強さがある。

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