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MLBで勝率7割が出る現実度は?
1戦が重い、60試合の超短期決戦。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAP/AFLO
posted2020/07/23 11:50
ダルビッシュも、超短期決戦のシーズンに備えている。カブスが持つシーズン最高勝率記録は更新されるのだろうか。
「お得意様」を作る必要がある。
今季の「同地区限定」形式では、同じナ・リーグの4チームと合計40試合、ア・リーグの5チームとの交流戦で合計20試合の対戦となっているが、ドジャースが予測システムの成績を出すためには、同じナ・リーグ西地区のパドレス、ダイヤモンドバックス、ロッキーズ、ジャイアンツの4チーム相手に合計24勝16敗で勝率.600を出す必要がある。
少し難しいのはア・リーグ西地区との交流戦で、アストロズ、アスレチックス、レンジャーズ、エンゼルス、マリナーズの5チーム相手に3勝1敗ペースの15勝5敗でいければ、合計39勝21敗の勝率.650で「独走態勢」なのだが、2勝2敗ペースでは34勝26敗で勝率.566にしかならない。
もちろん、どんなチームに対しても均等に勝ち越せたり負け越したりするわけではないので、結局は通常162試合のシーズン同様、どんなチームに対してもまずは勝率.500以上になるように戦いながら、勝率.700や.750以上を稼げる「お得意様」を作れるかどうかが大事になってくる。
大谷のエンゼルスは上位に食い込む可能性。
予測システムが勝率.500以上をつけている上位の17チームにとっては、同システムが27勝33敗、勝率.450以下と予想したブルージェイズ、パイレーツ、ジャイアンツ、マーリンズ、ロイヤルズ、タイガース、マリナーズ、オリオールズの8チームを「お得意様」にできるかどうかが、かなり重要だ。
それに加えて、両者の間に位置する「30勝30敗 勝率.500」のエンゼルス、ホワイトソックスと、「29勝31敗 勝率.483」のロッキーズ、さらに「28勝32敗 勝率.466」のレンジャーズの計5チームとの対戦成績が鍵を握ってくるのではないかと思う。
とくにマイク・トラウトや「投打二刀流」大谷翔平のいるエンゼルスと、若手選手の複数育成に成功したタイミングで先発左腕ダラス・カイコー(日本ではカイケル)を補強したホワイトソックス、さらに同じように若手育成に成功しつつ、エースとしてコリー・クルーバーを迎え入れたレンジャーズの3チームは、上位グループの17チームに入っていてもおかしくないほどの充実した戦力を持っている。
それらのチームにとっては上位チームと同様、下位チームを「お得意様」にしながら上位チームを食えば、一気に成り上がれるのだから気合も入るだろう。
果たして今季、ワールドシリーズ優勝のトロフィーを授与され、豪華でドでかいチャンピオンリングを手にするのはどのチームか。プレーオフを入れてもわずか3カ月のメジャーリーグは文字通り、「目が離せない」ほどスリリングなシーズンとなるだろう――。