プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
悪の王者EVILの相棒、ディック東郷。
ナマハゲからゲバラまでの“謎の50歳”。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2020/07/24 20:00
チェ・ゲバラをリスペクトするディック東郷らしいベレー帽姿。異国の地を渡り歩いてきた男は日本で革命を起こせるか?
「まさか50歳で、新日本プロレスに上がるとは」
“セントーン”と呼ばれるダイビング・ヒップドロップがあるが、東郷のそれは高くてきれいだ。
7月25日、愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で高橋ヒロムがEVILの2冠に挑むが、ヒロムもセントーンの使い手だ。EVILだって重いセントーンを使う。
となると……東郷が何もしないはずはない。ワイアーだけじゃないことを示すはずだ。
筆者はヒロムにセントーンを見舞う東郷を想像してしまう。大阪城下のセンセーションは、場所を名古屋城の下に移してエスカレートする。
「まさか50歳で、新日本プロレスに上がるチャンスが来るとは。人生何が起こるかわかりません。来月、51歳になりますが、まだまだ、成り上がって見せますよ」(東郷)
本人もびっくりの大ブレイク。東郷はゲバラのように白い星が付いたベレー帽をかぶって、7月20日、後楽園ホールのリングに立った。そこには新たな悪の野望と理想が秘められていた。
今の時代、何が悪で何が正義なのかなど、表と裏の関係に過ぎないのだから。
「待たずに行動せよ!(ゲバラ)」あるのみ、である。