濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
橋本真也が作ったものを守るため……。
ZERO1“熱いプロレス”で起死回生へ!
posted2020/07/27 08:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
NORIHIRO HASHIMOTO
プロレス団体「ゼロワン」は、来年で旗揚げ20周年を迎える。
7月11日には、靖国神社で新体制発表の記者会見が行なわれた。何度目かの“新体制”であり、団体名もZERO-ONE、ZERO1-MAX、ZERO1と変化している。
紆余曲折の20年だ。
団体の“顔”である大谷晋二郎曰く「順風満帆な年は1年もなかった」。逆に言えば、紆余曲折がありながらも19年以上、続いてきたわけだ。
創設者の橋本真也が亡くなったのが2005年だから、それからの歴史のほうが長いことになる。会見が行なわれた7月11日は、橋本の命日でもあった。
ZERO1の試合は見れば絶対面白いのに……。
少し前まで、ZERO1は存続の危機が伝えられていた。
3月に新たな社長を迎え、会社名も変えていたのだがコロナ禍で立ち行かなくなった。7月5日の新木場1st RINGでの“有観客”興行再開直前に、社長が団体を去ったことと主力選手3人の退団が報じられている。
それ以前から、興行的には苦戦を余儀なくされてきた。見たら面白いのに、その面白さがうまく広まらない。選手もファンも、そんなジレンマを抱いていたと思う。
今回は投資やIT事業などを手掛けるダイコーホールディングス傘下としての出直し。ネットを使ってのさまざまな新展開のほか、観客への無料の抗体検査とセットになったチャリティー大会の開催という新機軸も打ち出した。
そうした試みも、ベースとなるプロレスの“質”あってこそだ。
「いろんなアイディアが出てくると思うし、いい意味で頭を柔らかくしてやっていきたい。その中に熱いものもたくさんあると思います」
会見後、新体制では取締役を務める大谷はそう語った。さらにこう付け加えてもいる。
「やられてやられて、そこから立ち上がる姿、見ていただいた方に勇気を与えるプロレスというのは変えたくない。それがプロレスの一番の魅力だと思うので」