オリンピックへの道BACK NUMBER
体操・内村航平と寺本明日香の決断。
見出した可能性と羽生結弦のあの曲。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2020/07/19 19:00
男子のエース・内村に続き、五輪へのプランを明かした寺本明日香。昨年10月の世界選手権では五輪団体出場枠獲得に貢献した。
内村が自身の道を切り拓くために。
容易ではない決断だっただろう。
それでも、東京五輪への道を考えたとき、選択肢が、鉄棒だった。
自身の可能性をとことん探っての決断でもある。道を狭めるのではなく自身の道を切り拓くためでもある。
そしてオールラウンダーとして臨むことを断念した選択は、同時にスペシャリストとして東京へ向かっていくことを意味している。
鉄棒は内村がオリンピックや世界選手権の舞台でいちばん多くのメダルを獲得している種目だ。得意とする種目に専念し、オリンピック出場を目指す中で、スペシャリストとしてどのような演技を見せるのか――。
今年2月、寺本にアクシデントが起きた。
内村同様、寺本明日香も再起を誓い、2020年夏を目標に歩んできた。
多くの実績を積み重ね、女子体操を牽引してきた1人だ。
2012年のロンドン五輪は団体総合でただ一人全種目に出場し、日本の8位入賞に貢献した。
翌年のワールドカップ東京大会で日本女子初の個人総合優勝を果たした。
2016年のリオデジャネイロ五輪でも活躍、団体総合ではメダルまであと一歩となる4位、個人総合でも日本女子では52年ぶりの入賞となる8位になった。
昨年の世界選手権では、村上茉愛が負傷で代表を外れる中、主将として牽引、東京五輪団体出場枠獲得に大きく寄与した。
長年、日本の主軸として活躍してきた寺本にアクシデントが起きたのは、今年2月のことだった。