オリンピックへの道BACK NUMBER
体操・内村航平と寺本明日香の決断。
見出した可能性と羽生結弦のあの曲。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2020/07/19 19:00
男子のエース・内村に続き、五輪へのプランを明かした寺本明日香。昨年10月の世界選手権では五輪団体出場枠獲得に貢献した。
「人生を語る演技がしたいです」
強化合宿で床の練習中、左足アキレス腱断裂の大怪我を負ったのだ。
オリンピックイヤーに起きたあまりにも大きなアクシデントに一度は引退も覚悟した中、東京五輪は1年延期となった。そこに光明を見出せた。リハビリを経て、少しずつ練習を再開した。
東京五輪で成し遂げたいことがある。
「人生を語る演技がしたいです」
今年11月には25歳を迎える。東京五輪は長年打ち込んできた体操の、集大成と見据える舞台であり、引退を考える怪我から立ち上がる理由となった大会でもある。そのすべてを込めた演技を、と考える。
床で使用する曲は『Origin』。
そのために、床で使用する曲は決めてある。『Origin』だ。フィギュアスケートの羽生結弦が、平昌五輪シーズンの後、フリーで用いてきた曲だ。
寺本はフィギュアスケートが好きだという。羽生もまた、怪我などさまざまな試練を不屈の精神で乗り越えてきたアスリートだ。その軌跡を知るだろうし、きっと敬意や共感もあるだろう。
「(この曲を)踊りきるのが1つの目標です。この曲で終わりたいです」
内村、寺本ともに、道は容易ではないかもしれない。
それでも自身の可能性を信じ、大舞台への道をつなぎ、開こうと歩んでいる。
それぞれに目標を抱き、大きな勝負を懸け、1年後を見据えている。