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バレー高松卓矢が望む故郷への恩返し。
「裏切り」の声も覚悟した移籍とは。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byV.LEAGUE
posted2020/07/15 20:00
Vリーグ10年の節目に大分三好へ期限付き移籍した高松(中央)は、昨季までWD名古屋の主力として活躍した。
今季9位に「本当にちょっとの差」
大分三好は、2018-19シーズンに6季ぶりにV1に復帰したが、'18-19シーズンは4勝23敗、'19-20シーズンは3勝24敗でともに10チーム中9位と苦しいシーズンが続いている。そのチームに、経験豊富で得点力のある高松が加入することは大きな意味を持ちそうだ。
昨シーズン、大分三好は3勝に終わったが、フルセットまで競った試合が5試合あり、それをすべて落としている。中盤まではほぼ互角の戦いをするが、終盤の勝負どころの1点を取りきれずに逃すというセットも多かった。だからこそ、何か1つのきっかけで大きく変わる可能性もある。高松は言う。
「昨シーズンまでも、勝つチャンスのある試合は多かった。17、18点ぐらいまでは普通にやっているのに、そこから途端に崩れたりする。本当にちょっとの差。考え方1つで変わると思うんですよ。こういうシチュエーションではこうするのがセオリー、みたいなものがバレーにはあると思うんですけど、これまで(大分三好を)見ていると、そういう部分で、『あれ? なんで今こうしたんだろう?』という場面が多かった。そこをうまく伝えることができれば、相手にとって嫌なチームになるし、最終的に勝つ回数は増えてくると思うんですよね」
アンディッシュから教えてもらったこと。
「僕に何ができるかというと……、僕は石川(祐希)君とか柳田(将洋)君みたいなスーパースターじゃないし、イゴールみたいになんでも打てるようなスパイカーでもないので、なんとも言えないけど、でもアンディッシュから教えてもらったいろんな知識や経験、技術を、若い選手にうまく伝えることができたら、すごい成長をするきっかけになるかもしれないと思うんです」
高松自身、豊田合成時代に、アンディッシュ監督がさまざまな約束事をチームに植え付けたことで、勝てるチームに変貌していった過程をつぶさに見てきただけに、今の大分三好に何を伝えればチームが変わるかが、見えているのかもしれない。下位に低迷していた大分三好が変われば、当然、リーグ全体もおもしろくなる。