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トリニータの夏男&エンターテイナー
三平和司、2つの転機と得た妙技とは。
posted2020/07/13 19:00
text by
柚野真也Shinya Yuno
photograph by
J.LEAGUE
無観客試合に最大5000人の有観客試合。新型コロナウイルスの影響とはいえ、この状態がいつまで続くのかと感じながらプレーする選手の胸中はどうか。
試合の価値を保てるかという根本的な課題もある。どんなにレベルの高い試合でもスタンドが閑散としていたら盛り上がらない。ファンやサポーターが発散するエネルギーが選手を後押しし、スポーツの価値は飛躍的に高まるものだ。
「ファンあってのサッカー選手」
「ファンあってのサッカー選手だと痛感する」とポロリと口にした三平和司。大分トリニータの盛り上げ隊長は、今季はこれまで以上にエンターテイメントというものを意識するようになった。
不自由なく練習しているときは見落としがちだが、ファンやサポーターがどういうものを求めているのか知らされる。
「サッカーで魅せるのはもちろんだけど、プラスアルファを考えないと」
ホーム試合前にゴール裏のビジョンに流れる選手紹介で、三平は野球のユニフォームを着て、サルの被り物で立ち振る舞い、観客の心をつかむ。アイデアとサービス精神が詰まった映像だ。「まあ、こんなもんでしょう」と“完成度の高い作品”に納得の表情を浮かべる。にぎわいを創出するのがスポーツの本分だと心得ている。
もちろんプレーで魅せることも忘れてはいない。
リーグ再開の2節・鳥栖戦でアシスト、3節・広島戦では試合終了間際に決勝弾を流し込み、勝利の立役者となった。いずれも途中出場の短い時間だったが、きっちりと結果を出した。