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東京五輪では姉妹で金メダルを!
頑固な妹・川井友香子の青春。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySachiko Hotaka
posted2020/07/13 10:00
バッサリ切った髪の毛について質問されて照れる川井友香子。姉妹で金メダルという目標は揺るがない。
悔し涙を流しながら試合を振り返った友香子。
この時の世界選手権での目標は、「色に関係なくメダル獲得」だったが、決勝にまで進出してしまった。
結果こそ2-6での敗北となったが、終了間際2ポイントを奪い返した猛攻に友香子の意地を見た。
試合後は悔し涙を流しながら試合を振り返った。
「最初からもっと勇気を出して攻めにいったら、簡単に負ける相手ではなかった。最初から攻められなかった自分が情けない」
その後は七転び八起き。2019年9月の世界選手権では3回戦で敗北。その直後、記者団の前に顔を出すと、言葉を発することができないほど友香子は号泣した。
<こんな精神状態だったら、敗者復活戦に回っても難しいだろう>
現場に居合わせた筆者はそう思うしかなかったが、翌日敗者復活戦に回ることができた友香子はいつものポーカーフェースの彼女に戻っていた。
家族から「絶対に諦めるな!」と。
梨紗子が喜怒哀楽を前面に出すタイプならば、友香子は内向的なタイプ。
ハードな練習が終わると梨紗子は周囲の目など関係なく大の字になるが、友香子はどんなに苦しくても表情を変えない。
そして迎えた3位決定戦では、アンクルホールドなどでポイントを重ね、テクニカルフォール勝ち。メダルを死守するとともに、東京オリンピック出場権を得た。
「絶対に諦めるな!」
大会後の友香子が、敗戦後に塞ぎ込む自分に母と梨紗子が泣きながら励ましてくれたことを明かしてくれた。涙で支えられている川井家の絆。家族の支えがあったからこそ、友香子は気持ちを作り直すことができたのだ。