「締め方を変えるだけで、ほかの4回転もできる」

　トウループとアクセルでは跳び方が異なるため一概にはいえないが、“左から右への体重移動があるために回転が遅れる”という既存の跳び方ではなく、優真のようにテイクオフと同時に回転を始められる跳び方は、興味深い技術であることは間違いない。

　もちろん「企業秘密」と正和氏も話していたので、これ以上の解説は避けておくが、4回転時代の選手達にとって、喉から手が出るようなジャンプ理論を正和氏は持っているのだ。

　正和氏は、こうも話した。

「極端にいえば、優真の場合、あとは（身体の）締め方を変えるだけで、ほかの4回転もできると思います。時間をかければ、ですが。基礎という意味では、そう言える所まで来ていると思います」

　このオフには、すでに4回転サルコウ、ループにも着手しているという優真。4回転3種類となれば、世界のトップ争いに食い込む可能性もある。正和氏はいう。

「僕が臆病なタイプなので、2020-21シーズンはまだ4回転をあと1種類、五輪シーズンに3種類目を加えれば良いと考えています。

　でも本当は限界を作ってはいけませんよね。羽生君が4回転アクセルと言っていますから、そこに追い付く気持ちがないと。『羽生君は別世界』と思ったらダメ。優真には、追随していこうという気持ちをもって欲しいです」

　正和氏の技術と、優真のアグレッシブさ。2つを合わせることで、遥かな高みを目指す。