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中村剛也&栗山巧の仕事ぶりを見よ。
西武を牽引する“骨と牙”の19年目。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/07/09 11:50
2001年のドラフト同期入団で同じ年のベテラン、中村(左)と栗山は円熟味のあるプレーでチームを支えている。
秋山翔吾が語った連覇の要因。
シンシナティ・レッズに移籍した秋山翔吾が以前、こんなことを語っていた。
「ライオンズが連覇した要因のひとつに、中村さんや栗山さんの存在があったと思いますね。中村さんと栗山さん、スタメンを外れる時期があったじゃないですか。ずっと試合に出続けて、ずっとキャリアを積んできた選手でも、こうして試合に出られなくなることがあり得るんだなと思いましたし、でも中村さんと栗山さんは努力してそのポジションを取り返した。そして、『やはり中村さんと栗山さんはチームに必要だ』と周囲に思わせたことが大きいと僕は思います」
2人の努力する姿、自らの手でレギュラーを取り返す姿が周囲の選手への大きな刺激になったと語る。
「これまでマイナーチェンジはあったかもしれないけれど、中村さんほど実績を残している人がバットを変えるなんて、そんな大きな決断をすることはなかったでしょう。そして、栗山さんがキャンプ中にどれだけバットを振り込んでいたか、みんなが見ている。僕はもちろんですが、2018年の優勝当時、レギュラーをつかみ始めた選手にとって、その姿を見たこともすごく大きかったと思いますよ」(秋山)
弾道が変わった中村、準備に抜かりない栗山。
かつて「ホームランの打ちそこないがヒット」と言い放ち、「ホームランも三振も同じスイングであることが理想」「ホームランねらいは今後も変えるつもりはない」と語っていた中村は近年、右方向をねらったヒットが増えた。今シーズン、コロナ禍の自主練習期間には、苦手だったウェートトレーニングにも積極的に取り組み、7月3日のオリックス戦では、これまでの中村の弾道とは違う、強いライナー性のホームランをバックスクリーンに放り込んだ。
栗山は代打で出場する機会が多かった'18年、どんな試合展開でもベンチで目を光らせ、準備を怠らず、あるかないか直前までわからない出番に備えていた。栗山は代打の心境についてこう語る。
「僕は、あくまでスタメンで出るために、代打もそのひとつのチャンスやと思ってやってます。代打で行くぞと言われたら、『ここでヒットを打って明日のスタメンを勝ち取ろう』って思って打席に立ちますね」