ノートを書き続けるペリコおじさん。

「エスパニョールファンが集まるバルで試合を見たいんですけど、どこかご存知ですか？」

　我慢できずに話しかけると、ペリコおじさんは「お前はエスパニョールが好きなのか？」と返してくる。バルサ戦を見に来ているだけに「シー」とは言いづらく、「エスパニョールもバルサも好きです」という中途半端な返事をしてしまったことで、その後は塩対応となる。

　それでも何とかバルの名前を教えてもらい、前半が終わった時点で店を出た。店内が静かすぎたのと、ペリコおじさんがノートに何か書き続けているのが気になり、試合に集中できなかったからだ。

　いったい何を書いていたのだろう。そんな疑問を抱きつつ、バル取材は次の機会に持ち越しとして、後半は家で見た。

　次戦は火曜22時のバルサ対アトレティコ。条件は揃っている。今度こそイメージ通りの雰囲気を味わえるはずだと自身に言い聞かせ、例の老舗っぽいバルに乗り込んだ。

　さすが以前から目をつけていたこともあり、店内はそれっぽい雰囲気を出している。カウンターにはバルサの旗やグッズが飾られ、店の奥にはドリームチームの集合写真やロナウジーニョのポスターも見受けられる。

この店、ガチの独立派なんじゃない？

　ただそれ以上に気になったのは、独立旗エステラーダや「SPAIN, SIT AND TALK」などと書かれた独立を訴えるポスターの数々だ。

　この店、ガチの独立派ではないか。そうなると絡みづらい客が少なからずいる可能性がある。

　店内の外国人は自分ひとり。店員以外からあまり歓迎ムードを感じられない。試しにカウンターに立つ5人ほどの客に「みなさんバルサファンですか？」と聞いてみると、案の定、反応は悪い。

　まさか家から徒歩数分の場所でアウェーの洗礼を受けるとは思っていなかったが、そういう時は仕方ない。ここは無理にコミュニケーションを図らず、黙って彼らの様子を観察することにした。

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