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第二のモウリーニョになれるか?
スポルティング監督、アモリムの革命。
text by
レミ・デンダニRemi Dendani
photograph byFacebook/Sporting Clube de Braga
posted2020/07/06 18:00
ブラガでは、各選手のトレーニングの内容まで非常に細かく指導していたというルベン・アモリム。そのかいあってか、チームは一気に上昇した。
現役時代はポルトガルのクラブと代表でプレー。
現役時代は中盤のユーティリティプレイヤーだったアモリムは、カタールのアルワクラで1シーズン(2015~16年)を過ごした以外は、すべてポルトガルのクラブでプレーを続けた。
この間、ベンフィカ時代にはジョルジュ・ジェズス監督のもとパブロ・アイマールとともにプレーし、ポルトガル代表ではカルロス・ケイロス監督のもとクリスティアーノ・ロナウドやチアゴらとともにプレーしている。
現役引退は3年前の2017年4月。1年後にはリスボン北東に位置する3部リーグ所属のカーサ・ピアを率いて、昨年春には見事2部昇格を果たした。
すべてはまるで早送りのビデオのように過ぎていったが、落とし穴が待ち受けていた。
アモリムにコーチライセンス取得の問題が持ち上がったのだ。
アモリムはポルトガルサッカー改革の象徴に。
2019年1月、アモリムとクラブはポルトガル協会の規律委員会から勝ち点6剥奪(のちにスポーツ裁判所の裁定により撤回)、アモリムの1年間の監督活動禁止などなどさまざまな懲罰を受けた。しかしアモリムは、この決定を無視して2試合指揮を執り続けた。
だが、そうした形式上の問題以上に、アモリムが明らかにしたのはポルトガルサッカーの根源的な欠陥のひとつだった。
ジャーナリストで解説者でもあるルイス・クリストバンは以下のように語る。
「ルベン・アモリムが取得したのはコーチングライセンスの第1段階(UEFAのC級ライセンスに相当)で、これだと第4段階(UEFAのプロライセンス)を取得するためのすべての課程を修了していない。1部リーグの監督になれないばかりか、3部リーグの監督に必要な第2段階にすら彼は到達していない。
ポルトガルでは多くの元選手たちが、プロライセンス獲得のために4~5年を要することに大きな不満を抱いている。プロ選手のキャリアを持たない指導者たちのほうがずっと有利であると」
監督に身を転じてわずか数カ月でアモリムはひとつの象徴となったわけだが、それはその後も変わらなかった。