大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
大山加奈に刺さった高校生の言葉。
オンラインを通じて見えたものとは。
posted2020/06/30 11:30
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph by
RIGHTS.
プロ野球が開幕し、6月27日にはJリーグも再開するなど少しずつスポーツの明るい話題が増え始めてきました。ですが、それでもまだスポーツ界、特に小学生から大学生を取り巻くスポーツ環境は、変わらず厳しい状況が続いています。
多くの大会が中止や延期を余儀なくされる中、私に何ができるのか。ツイッターやインスタグラムなどSNSを通じて投げかけたところ、こんな声が寄せられました。
「バレーボールをしている娘が、大会もなくなり、何のために続けているのかとバレーボールから心が離れかけています」
心に突き刺さりました。せっかくバレーボールを選んで、楽しいと思って続けて来た子たちがもうバレーボールに魅力を感じなくなっている。彼女だけに限らず、きっと数えきれないほどたくさんの子どもたちが、同じような感情を抱いているのではないか。今、その子どもたちの心を引き留められなかったらバレーボール界の未来なんてない。そう思うと、何かしなくてはならないと使命感にかられました。
大会開催は考えた、でも……。
実際に、バレーボールをしている子どもたちの親御さんから寄せられたメッセージの中でも多数を占めたのが「大会をしてほしい」という声です。インターハイなど全国大会やそこに至る都道府県予選の開催がかなわない分、代替案として「大山加奈杯」のような形で大会を開催することができるのではないかとも考えました。
でも、本当に子どもたちはそれを望んでいるのか。ずっと目指してきた大会出場という目標や夢が潰え、今は無理矢理でも気持ちを切り替えて受験を頑張ろう、とか、他の目標に向けて進み出した選手は少なくないはずです。それなのに今更「バレーボールの大会をやります」と言われても、全国へとつながる公式戦ではないためモチベーションも高まらないかもしれないし、練習から離れていたら急に試合へ臨むことでケガのリスクも生まれる。会場使用や移動の問題、さまざまなリスクを考えれば考えるほど、大会開催に向けて動き出すのはまだ非常に難しい。
あれこれ考えを巡らせていた矢先。とある高校3年生のバレーボール部に属する女子選手からメッセージが届きました。心に突き刺さっただけでなく、その言葉で思わず涙が出ました。
「私は大会がなくなって、正直ホッとしています」