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思い出した石川祐希が涙を流した日。
セリエAミラノ移籍に秘める覚悟。
posted2020/06/12 11:40
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kiyoshi Sakamoto/AFLO
6月11日、バレーボール男子日本代表のエース、石川祐希がリモート記者会見を行い、来シーズン、イタリア・セリエAのミラノに移籍することを発表した。
大学生だった2016/17シーズンから5季連続のイタリアでのシーズンとなる。しかし今年の決断は、例年よりも難しく、重いものだった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、スポーツにも大きな影を落としている。イタリアは、感染者数、死者数が特に多い国の1つだ。昨シーズン、石川はイタリア北部の街パドヴァでプレーしていたが、2月後半からそのイタリア北部を中心に爆発的に感染が拡大し、リーグは中断。移動制限や外出禁止の措置がとられた。
「感染のリスクがあったので、不安や心配はありました」と石川。
それでも、リーグ再開や初のプレーオフ進出の可能性が残されていたため、パドヴァにとどまった。しかし再開はかなわず、4月下旬に帰国した。
自分の夢をかなえたい。
何事もなければ今シーズンも迷いなくイタリアでのプレーを選んでいたが、コロナ禍の中、迷いはあったと明かす。
「イタリアは感染の被害も大きいので、大丈夫なのかな?という心配はもちろんありました。『日本でやったほうが身のためなのかな』と、実際悩みました。やはり体が資本なので、向こうに行って、できなくなったら、本末転倒になってしまうので。日本でやったほうがいいのか、やるべきなのか……。
正直、今でも、不安や心配は感じています。でもそれ以上に、僕自身の目標を達成したいという思いが強いので、自分の夢をかなえたいという思いで、今回こういう決断をしました」
石川は、「世界のトッププレーヤーになる」という目標の実現に向けて、走り続けることを選んだ。