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チームに安心感を与えるショート。
オリックス安達了一に芽生えた欲。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNoriko Yonemushi

posted2020/06/26 11:00

チームに安心感を与えるショート。オリックス安達了一に芽生えた欲。<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

プロ9年目を迎えた安達了一。球界トップクラスの守備力には西村監督も信頼を置く。

チームに安心感を与える職人。

 今年は新型コロナウイルスの影響で、プロ野球界は未曾有の状況に置かれている。

「病気になった時にも思ったことですけど、野球ができるのは当たり前のことじゃないんだなと改めて感じました。それに、ファンの方に応援してもらえることも、当たり前じゃない。今、無観客でやっているので、やっぱりさみしいです」と安達は言う。

 感染予防には人一倍神経を使っている。また、監督やスタッフと相談の上で、今季はナイターの翌日のデーゲームは休養のため先発を外れている。疲労をためないようにコントロールしながら、この異例のシーズンの完走を目指す。

 安達がこだわるショートは、打球が飛ぶ機会が多く、外野からの中継やベースカバーに入るなど、あらゆるプレーに絡む守備の花形だ。「自分はバッティングで目立つ人じゃないんで、守備で」と安達は笑う。

 ただ、派手なプレーで目立つタイプではない。当たり前のプレーを当たり前に、難しいプレーも当たり前のように、さりげなくやってのける職人である。

 周囲への気配りも細やかだ。開幕戦の8回表、無死満塁の場面で、安達はマウンドの神戸文也のもとにスッと歩み寄って一声かけ、グラブでポンとお尻をたたいた。安達が追求するのは、「常に周りを見られるショート」だ。

「ピッチャーの様子が少しおかしいとか、バッターのスイングを見て、今日はこの辺に打ちそうだなと感じて、周りに指示を出したり。そういうショートを目指しています」

 絶妙なタイミングで声をかけて投手や周りの野手を救う。

 難しい打球も、簡単そうにさばいてファインプレーに見せない。

 そのさりげなさがチームに安心感を与える。32歳の遊撃手・安達は、オリックスにまだまだ欠かせない存在だ。

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