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中断明けプレミア下位に迫る恐怖。
残り9試合、運命の残留争いを占う。
posted2020/06/20 08:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
プレミアリーグが再開した──。
およそ3カ月に及んだ中断期間は、各クラブにどのような影響を及ぼすのだろうか。
もちろん、リバプールの優勝は動かない。現地時間6月21日、グディソン・パークに乗り込んでのエバートンとの「マージーサイド・ダービー」で勝利を収め、翌日に2位のマンチェスター・シティがバーンリー戦で敗れると、30シーズンぶりの戴冠だ。
モハメド・サラーは得点王、GKアリソンは最多クリーンシート獲得が視野に入っている。今まさに、リバプールは我が世の春を謳歌している。
個人タイトルの行方とともに、残留争いにも注目だ。ノリッチ、アストンビラ、ボーンマス、ワトフォード、ウェストハム、そしてブライトンが降格の恐怖に晒されている。
なかでも、29試合を終えて最下位に沈むノリッチは厳しい。プレミアリーグの残留は勝ち点で40ポイントがボーダーラインとされているが、本稿執筆時点で彼らは21ポイント。残り9試合で19ポイント以上を手にするのは至難の業だ。
対戦相手の平均順位を見てみると。
26ポイントのアストンビラも厳しい闘いが続く。14ポイント以上、すなわち9試合の勝率が5割を少し上回れば残留の可能性はある。しかし、残された相手の“average opponent position”から判断すると……。
Average opponent position(以下aop)とは、対戦相手の平均順位である。イギリスの衛星テレビ局『sky sports』がデータ分析の際に用いる手法で、1位が1点、2位が2点、20位は20点とし、平均値が低ければ低いほど対戦相手は強力になる、という考え方だ。
1 ボーンマス:8.11
2 ワトフォード:8.33
3 アストンビラ:8.56
3 ブライトン:8.56
5 ノリッチ:11.00
6 ウェストハム:11.30
アストンビラは1点(1位)のリバプール、4点のチェルシー、5点のマンチェスター・ユナイテッドなど、残り9試合の対戦相手の平均順位は8.56。残留を争うライバルのなかでは恵まれている方だが、0-0で引き分けた再開初戦のシェフィールド・ユナイテッド戦も改善の兆しはみられなかった。戦力値ももともと高くない。残留は至難の業だ。