猛牛のささやきBACK NUMBER
尊敬しあう山岡泰輔と山本由伸。
ダブルエースがオリックスを救う!
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/06/17 07:00
2019年、山岡(右)が最高勝率(13勝4敗)、山本が最優秀防御率(1.95)に輝いた。写真は2019年当時
山本由伸の球が速すぎて。
着々と球界を代表する投手へと歩みを進めてきた山本が、今年の開幕に向けてこだわって磨いてきたのが、ストレートだ。
昨年までも山本のストレートは一級品だった。最速157キロで力強さもある。ちなみに計測上の最速は、昨年のプレミア12で出した158キロだが、山本は「あれは(計測)ミス」だと言って譲らない。
どちらにせよ山本のストレートは速い。2018年のオフにオリックスから日本ハムに移籍し、昨年4月18日に山本と初めて投げ合った元エースの金子弌大が、「由伸は球が速いので、僕が遅いと思われるんじゃないかっていう不安はありました」と話していたのが印象的だった。
まっすぐで三振を、成果は感じる。
しかし山本自身はまったく満足していなかった。「昨年はピンチの場面で変化球に逃げていた」と自身の投球を振り返る。ピンチの場面で自信を持って投げていたのはカットボールやフォークだった。
「まっすぐを投げても、ファウルで逃げられたりして仕留めきれなかったので、変化球でピンチの場面を抑えるというのが今までの自分でした。でも、ピンチでもまっすぐで三振を取れるというのが僕の中の理想。だからそのぐらい自信を持って投げられるストレートを目指してやりたいなと。まっすぐがもっともっとよくなったら、カットボールだったり、変化球がもっと効くようになると思うので」
オフシーズンや自粛期間に、フォームの修正や体重移動の調整に取り組んだことで、より体重の乗った強いストレートを投げられるようになったと、6月2日から始まった練習試合で手応えを語っていた。
「バッターの反応もですし、投げている感じや、マウンドから見るボールのスピードもまったく違う。いろんな角度から見て、よくなっています。まだもっといい球を投げられるという気持ちもあるんですけど、去年の自分に比べるとかなりいいボールになっているので、成果はすごく感じています」
昨年は最優秀防御率のタイトルを手にしたが、「去年は勝ち星をあまり取れなかった。そういう面でチームにいい影響を与える選手になりたいので、今年はたくさん勝ちたい」と意気込む。