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尊敬しあう山岡泰輔と山本由伸。
ダブルエースがオリックスを救う! 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNoriko Yonemushi

posted2020/06/17 07:00

尊敬しあう山岡泰輔と山本由伸。ダブルエースがオリックスを救う!<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

2019年、山岡(右)が最高勝率(13勝4敗)、山本が最優秀防御率(1.95)に輝いた。写真は2019年当時

山岡は新球種で器用に駆け引き。

 一方の山岡は、今年も、3年連続で新球を解禁した。今年の新たな武器は「シュート」。練習試合では「シュートはかなりいい。完成しているかなと思います」と納得の表情だった。

 しなやかなフォームから繰り出す最速152キロのストレートと、高校時代から得意にしていたスライダーやチェンジアップなど多彩な変化球を駆使する。

 あらかじめたくさんの引き出しを用意しておき、毎年、その引き出しの中から1つずつ新しい武器を取り出している。2年目の開幕前、山岡はこう語っていた。

「1年に1回、春先に『山岡、新球種』という記事が出たりすると、他のチームはそれが頭に入る。それでその新球種が、パッと見ただけで打てる球じゃないぐらい完成していたら、そちらが気になって、僕のスライダーが相手バッターの頭から消える。そうするとボール球でも振ってくれる。で、スライダーを思い出すと、違う球種が頭から消えていく。それをずっと繰り返していけば、バッターは絞れないんじゃないか。プロってそういう駆け引きの場だと思うんです」

 そうした駆け引きも含めて、山岡は「器用」だと、山本は言う。

「めっちゃいい変化球があったり、しっかりコントロールよく投げたり、フィールディングもそう。何をしているところを見ても、山岡さんは器用だなと感じます」

オリックスは開幕3戦にかける。

 オリックスは現在、球団ワーストの開幕戦8連敗中である。その不名誉な連続を今年こそ断ち切るために、山岡が2年連続の開幕投手を任された。

 以前の山岡は、開幕投手について聞かれると、「興味ない」と言い切っていた。しかし昨年初めてその役割を経験したことで、少し変わった。

「投げてみて、勝てなかったから。(開幕戦に)7年連続で負けていたところを、自分にはストップできなかった。だから、今年はやりたいですね。自分がストップできなくて、他の人にストップされるのは嫌だから。今年はストップしたいです」

 オリックスは12球団でもっとも長い23年間、リーグ優勝から遠ざかっている。シーズンの勝ち方を知らないチームが、出だしにつまずいたら、後半巻き返すのは至難の業だ。他のチームにも増して、スタートダッシュが重要になる。

 だから西村徳文監督は、開幕戦に山岡を、3戦目に山本を持ってきた。開幕3連戦にダブルエースをつぎ込み、2戦目には、順調に状態を上げてきた23歳の期待の左腕・田嶋大樹を起用。オリックスはこの3連戦にかけている。

 チームを長く支えていくであろう若き投手陣が開幕ダッシュに導けば、その先、何かが大きく変わるかもしれない。

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